584人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の精神安定剤は俺のせいでぼろぼろになったけど、俺にとってはやっぱり精神安定剤のままのようで。
抱き枕にして眠らなくても、そこにいるだけでなぜかぐっすり朝まで眠れる。
チカは俺にとってのα波でも出してるのかもしれない。
更に引きこもりチカは、学校に行かずに何をしているかというと、俺の部屋で掃除、洗濯なんてしてくれて、何か嫁でももらったような気分になる。
いや、まったくもってそういうつもりはなかったし、別に掃除も洗濯もしてくれなくてもいいのだけど。
…してくれるとうれしい。
うれしいことをしてくれると、やっぱりかわいがりたくなるもので。
本当は抱きしめてしまいたいけど、そういうわけにもいかず。
ただ家に帰るのが早くなる。
寄り道しない。
誘われても二言なく断る。
チカになついてしまっている自分をかなり感じる。
「コウ、忘年会どうする?」
なんていうことを聞かれる時期だ。
年末年始はイベントだらけ。
俺は連れが多すぎて。
その連れもばらばらで。
いろんなとこから誘われる。
店の予約の都合もあって、早めに聞かれる。
去年の俺は連れから連れへとハシゴして遊びまくった。
「すみません。未定で」
「職場のつきあいくらいつきあえ?」
先輩社員に脅すように言われて、俺は苦笑いだ。
微妙にこわい。
先輩社員にはかなりよくしてもらっている。
命も助けられたし。
「じゃあ参加で」
「最近またつきあい悪くなってないか?新しい女、またできたのか?おまえにしては長くいなかったみたいだけど」
2ヶ月と少し程度で俺にしては長くいなかったと言われている。
…そのとおりではある。
「彼女はできてないけど、同居人が」
「女だろ?」
「…元カノ」
「さっさと戻れ。その元カノだろ?前もつきあい悪かった時期のおまえの彼女」
まぁ、そのとおりではある。
いや、つきあい悪くなるのは、チカが俺の連れに混じらないからで。
ミクやそれ以前の彼女は俺の連れに混じっていたからで。
チカが特別とは言わない。
言わないが、俺はもとから彼女とのつきあいを優先するほうだ。
彼女の了承を得てから連れと遊ぶか決める。
チカは聞かなくても、俺の連れに関わろうとしないから。
何を考えるでもなく断ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!