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俺のせいではないけど、俺のせいなんだ。
ここにいたい…けど、チカに何かを求めることなんてできたものじゃない。
俺はベッドに軽く座って、チカの背中を片腕で抱き、その髪を撫でる。
長かった綺麗な髪も俺のせいでこんなことになってしまった。
しばらくそのままでいたけど、俺は裸で。
暖房も切って室温が下がってきて震えた。
「…寒くて鼻水出そう。服着るか布団に入るかしたい」
俺は寒さに身を震わせて、そこにある温もりを両腕でぎゅっと抱きしめる。
そろそろ離れて着替えて寝ようとしたら、チカはベッドの布団と毛布を俺の肩にかけて。
俺の体に甘えるように寄りかかって離れようとしなかった。
甘えられている。
そう思うと何かがうれしい。
「……一緒に寝る?」
聞いてみるとチカは頷いて。
俺は久しぶりにチカと添い寝。
チカに腕枕をして、一つの布団を俺とチカの体にかけて。
……やばい。
なんかドキドキしてきた。
どこか緊張してしまう。
「……したい?」
チカは俺の胸に額を押し当てて、なんか聞いてくれる。
俺の意思ばかり見ようとするのは相変わらずのようだ。
俺は目を閉じて、何もする気もなくチカの頭に頬を寄せる。
「……答えづらいこと聞くな。…せめて裸にして肌にふれたい。しないけど。おまえ震えて泣くし。ついでにそこまでしたら、したくなるからしない」
「…欲求不満にならない?……私がここにいると彼女もつくれないよ?」
おまえが彼女になって。
そんな言葉を言って、チカが俺に流されてつきあったら…また繰り返すだけ。
それでも…。
「狙ってる女もいないし」
俺はそう答えておく。
それでも俺は狙ってる…のだろう。チカを。
他に女をつくろうとしていないのだから。
チカを優先しているのだから。
「常に誰かに狙われてるくせに」
なんか不満そうに言われた。
「…嫉妬?」
俺は少しうれしくなって聞き返す。
「…晃佑は?私にふれた男に嫉妬する?」
「……ふれたというより犯された、だろ?…殴り殺すかと思った。おまえを殴ったあの女も」
叩いて…蹴った。
女に手をあげたのは初めてだった。
トモは…俺に惚れてくれていただけ…。
俺のしたことすべてが正しいなんてとても思えない。
それ以上言葉を続けられなくなって。
「……髪、短くても気持ちいい」
チカの柔らかい髪に甘えるように顔を埋めて、ゆっくりと朝まで眠れる眠りに俺は落ちていく。
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