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ミクは背伸びをして、俺の肩の上から背中に腕を回して。
俺の耳元、首筋にその熱い息を軽く吹きかけてきて、俺はその体を引き離そうとして。
「…まだ持ってたんだ?このピアス」
…はずしておけばよかった。
ピアスをはずそうとすると、ミクの手は俺の頭をその腕で引き寄せて。
その唇を俺の右耳のピアスに押し当てる。
「ねぇ、コウちゃん。私のこと、まだ好きだったりする?…気持ちイイコト、してあげようか?」
「だからっ…、つきあってないだろっ。耳元で囁くなよっ」
「つきあってもいいよ?コウちゃんのこと嫌いじゃないもん。ね?いこ?コウちゃんが我慢すればするほどしたくなっちゃう」
う…うぅ…。
なんで俺は…こんな言葉に弱いんだ…。
しかもそれを耳元で言うな。
…俺は負けた。
欲望とミクの誘惑に。
店のトイレの個室に入ると、ミクは俺をそこに座らせて、ずっとそうしたかったみたいに、俺の耳を舐めて、首筋を舐めて。
ボトムのベルトをはずして…。
彼女は…いないし。
別に俺に気にするものはないといえばない。
ミクがうれしそうに俺のを舐めて感じさせる顔を見ながら、そこに知花の顔を重ねて、更に興奮してきてしまう俺がいる。
どうしても俺は知花から離れられないらしい。
俯いたミクの髪を撫でながら、その髪に知花を重ねて。
知花としたくてどうしようもなくなる。
それって…よくないよなって思う。
体目当て。
でもその体もすごく気持ちよくて…好きで…。
今の知花にこういうこと求めたら、即、嫌われるって思うと、ふれることもできないし…。
「…っ、ぁ…、いきそ…」
「だめ。もっと我慢しなきゃだめ」
思いきり我慢して我慢して我慢しまくったけど。
ミクの頭を俺の快楽に合わせるように動かして。
ミクは口の中で小さく笑って、その視線を俺の視線に合わせる。
本当、俺はミクの思い通りに動いてしまっている気がする。
たぶん、きっと、そういうのも相性がいいというのだろう。
「……いっぱいすぎ」
ミクは俺がその口の中に吐き出したものを手のひらに吐き出して言ってくれる。
…聞こえないふりをしてしまおう。
健全でよかったな、俺ということで。
「コウちゃんはしてくれないの?」
ミクはトイレットペーパーで手を拭きながら、ボトムをちゃんと穿き直していた俺に聞く。
俺はちらっとミクの顔を見て、答えずに個室の扉を開けた。
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