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ミクはふて腐れまくったけど、俺は結局、ミクに手を出すこともなく。
ミクをその実家まで送り届けて、ほぼ無理矢理俺から引き離した。
そうしないと離れない。
ずっと俺についてくる。
惚れて…くれている気持ちとは違っても、そうやってなついてくれることがうれしかったりもする。
それでいいとも言えるし、それだけじゃ物足りなくも思う。
俺は一人で自分の家に帰って、少し遅くなったけど知花にあけおめメールを送ってみる。
知花と戻れそうな雰囲気がまったくないとは思わないし…。
もしも知花がいいと言ってくれたのなら、知花ともう一回やり直したい…なんて思う。
だけど…、見えているのは、知花はミクとは違うこと。
俺になついて、いつでもどこでも一緒に行きたいというような女じゃない。
俺の連れに混じりたがらないのも…、ずっと続くだろう。
連れとの関係がすべてなくなってもかまわないような気もするけど、知花だけいればいいと言えるようになれるのか謎だ。
今の俺があるのは、たくさんの人たちに支えられてきたからであって。
何かがあれば誰かが助けてくれたからであって。
そのすべてをなくすのはどうなんだろうと思う。
思うけど…。
俺は短い睡眠をとって目を覚まして。
部屋の中に知花の姿を探す。
探してしまっている。
何がそんなに依存してしまっているのか、自分でもわからない。
わからないけど、知花は俺の精神安定剤。
そこにいるだけで落ち着く。
いろいろ考えることはあるけど、数日一緒に暮らしていたから、いないと寂しい。
食事をとろうとして、冷蔵庫を開けるのが癖になっている。
前までは自分で作ることもなかったから、この冷蔵庫に食材はなくて、見るまでもなく、腹が減ったら外へ買いにいっていた。
知花と暮らして、目玉焼きくらいは焼けるようになった。
卵とハムとパンで朝飯を作る。
知花が欲しいと言って買ったキッチン用品を見て、そこにいない知花のことばかり考えてる。
なんとなくはわかってる。
知花は引きこもりをやめて、また普通に暮らせるようになってきたということは。
ここにいる理由もないし、実家にそのまま帰るか、自分の家に帰るだろう。
荷物は取りにくるだろうけど。
この同居生活が終わる予感はしている。
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