Deep

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俺にとってはかなりの分岐点だ。 ミクと戻ったとしても、また簡単に捨てられる可能性ありまくりだし。 知花と戻ろうと思っても戻れるかわからない。 戻れたとしても、俺がまた求めすぎて、一人で嫌になるかもしれない。 そこにはっきりとした決断も持てず、時間だけは過ぎていく。 三が日も終わって、知花からの連絡もなく、本当にそのままいなくなりそうで俺は電話をかけた。 コールは数回で知花に繋がる。 ちなみにあれからミクからの連絡はくるようになった。 けっこう複雑。 その誘惑にのってしまった俺が悪いけど。 つきあおうよーとひたすら言ってくる言葉に答えていない。 ミクの目的はイチャイチャだから。 そのうち俺に言うのにも飽きるだろと思う。 「電話くらいしろ」 俺はチカの声を聞くと一番に言ってやった。 『もう学校始まるから、このままこっちに帰ろうかなって』 思った通りだったようで。 こんな予感、当たって欲しくないなと思う。 「俺の家から通えば?どうせ同じ駅だし、少しだけ俺の家のほうが駅に近いかも」 なんて遠回しに一緒に住もうと言ってみている俺がいる。 『私、晃佑の彼女じゃない』 きた。 俺と住む理由がない。 少しは俺は知花のことをわかってきているのかもしれない。 そこにどう答えるか迷った。 迷ったけど。 「……もう彼女に戻れば?」 俺は覚悟を決めて言った。 フラれるかもしれない。 フラれるのは…本気、もう嫌だけど。 言わないとどうしようもない。 『……もっと真剣に口説いてよ』 何か不満そうに言われて、俺は口説き文句なんてものを考えてみたけど、そんなものが即興で出てくるような男じゃない。 「…そんな口説き方したことない。……まぁ、彼女じゃなくてもいいんじゃないか?迎えにいくから、そのまま家で待機な」 俺は知花に返事をさせないように電話を切る。 フラれたくなくて、強引にいきすぎた気がしないでもない。 それでも俺は有言実行で自分の家を出て知花の家へと向かう。 彼女じゃなくても…、知花がそこにいればいいと思うし。 性欲処理の彼女くらいならミクがなってくれるし。 つきあわないほうが、俺も線をひいていられるような気がする。 愛してなんて求めないでいられる気がする。 ……それでいい…けど。 いいんだけど…。 心のどこかで納得できない。
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