584人が本棚に入れています
本棚に追加
「どれくらい前に別れた人?」
なんとなく聞いてみると、晃佑はにやりとした嫌な笑みを見せてくれる。
聞かなければよかった。
「気になる?嫉妬?」
私をからかうように晃佑は聞いて、私は何も答えずに晃佑から顔を逸らす。
私、彼女じゃないはずだし。
何人もいる晃佑の元カノに嫉妬なんてしたくない。
晃佑はそんな私の体に腕を回して抱きついてきて、私はその腕から離れようとして。
「チカと会う1週間前くらいに別れた女。もっと妬けば?」
って、なんかうれしそうに言ってる。
1週間って…。
晃佑の恋愛サイクルは早いと思う。
…私がつきあったことないだけかもしれないけど。
私にかけた言葉はいかにも軽いものだったって言ってると思う。
「私、晃佑の彼女じゃありません」
「もう彼女でいいだろ。俺のこと嫌いじゃないから、呼べばくるんだろ?だったらつきあっていてもよくないか?」
晃佑の手は私の体を撫でてきて、私は慌ててその手を止める。
「暑いから離れて」
「…おまえな、いい加減、そうやってかわすのやめろ。冷房ガンガンにかけてる。…しよ?」
後ろから私の耳元に声と息がかかって、私は抵抗するように離れようとがんばる。
晃佑の手は私の胸にふれて鷲掴んで、片腕は私の腰に回って逃してくれない。
3ヶ月…、ずっとこれだ。
私は晃佑と一緒にいても、ただ一緒に眠るだけしかしていない。
胸にふれていた晃佑の手は私の顎を掴んで、強引に私の顔を晃佑のほうへと振り返らせる。
晃佑は私の目をじっと見てくる。
私はその視線から逃れるように目を逸らす。
「チカ、せめて1回だけでもおまえを記憶に残させてくれる気ないか?したことあるはずなのに、俺の記憶にはないんだぞっ?」
「晃佑としたいって言う子は他にいるでしょ?」
「話逸れてる。俺はおまえに言ってるの。…キスもしたことない。いや、したかも知れないけど、俺の記憶にない。
……無理矢理されるのが好きってわけでもないだろ?
…もしかして酔ってるとき、無理矢理した?そっちのが好き?おまえ、縛られていたし。でも呼べば出てきてくれるし…、嫌われてるとは思えないんだけど」
晃佑は悩んだかのように独り言のように言葉を続けて。
顎を掴んでいた手は私の頬を撫でる。
私は晃佑には理解できない人のようだ。
最初のコメントを投稿しよう!