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どういうことなら知花が怒ることなく喜ぶのか更に考えてみる。
けど、俺はそういうのは苦手らしい。
綺麗、かわいいと誉めていれば女は喜ぶ。
それ以外なんて難しい。
「…あ。これなら怒らない気がする」
「聞きたくない」
知花はもう言わなくていいと言いたげに俺から顔を逸らす。
それでも俺は言ってみる。
「俺に惚れてくれているところ」
こんな俺でも知花は言ってくれた。
俺が思うよりも大好きだと。
だから…、強気で、甘えることなく、押し倒す勢いで強引にいける。
知花が俺に惚れてくれているなら…、知花が俺が求めてもしてくれない、そのいくつかも妥協できる。
ミクと知花は違うから。
俺は知花のあり方に染まっていきたい。
嫌なこともあるだろうけど。
おまえといるのが一番好きだから。
おまえと過ごす時間が、そこにいる自分が好きだから。
「泣き虫なのもけっこう好きだし、しがみつくように抱きつかれるの好きだし…。おまえが作ってくれる料理も好きだし、笑ったらかわいいし。
……これくらい言ってもダメ?」
俺は思いつくものをどんどん口に出してみる。
「…ダメ」
なんて、それでも知花は納得してくれない。
納得させて、このまま引き留めたいのに。
何をどう言えばいいのか本気で悩む。
さらりと口説き文句を口にできる男になりたいものだ。
「…おまえな…。……なんで俺に惚れてるくせに、そうなるわけ?おまえがいいってどれだけ言えば伝わる?どう口説けば納得する?」
結局思いつかなくて聞いてる。
「……酔ってる晃佑に言ってもらう」
酔ってる俺とここにいる俺は別人なのか。
「最近、記憶なくすほど飲んでないし。…言って?言ってやるから」
俺はまた少し甘えてみる。
言って欲しい言葉なんて知花しか知らない。
知花は少し言うのに躊躇った様子は見せたけど。
「……好きって言って。私だけって言って」
なんて、ものすごくかわいいことを求められて、俺はうれしくて思わずにやける。
それを俺に言わせたいって、きっと本当に俺が思う以上に知花に惚れられているって思えて、本気でうれしい。
なぁ?それって、おまえは、俺だけ、好きって思ってくれてるってことだろ?
「好き。知花だけ」
俺は知花の望みどおりに心からその言葉を口にして。
なんかかなり恥ずかしくなった。
なんかドキドキしまくる。
真面目に言う言葉でもないと思う。
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