Dreamy recollection

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知花にいつから惚れているとか、どこに惚れているとか、そういうものはなんとなく答えにしにくい。 ただ、嫌なことがあっても、知花と繰り返す日常が好きで、一緒に笑いあったときに幸せだなと思える瞬間が好きで。 すべてに理由をつけるのは難しい。 店のキューを使って、軽くビリヤードをしながら隆太と話す。 この友達紹介の本当の目的を。 「…まぁな、強姦された傷なんて女同士のほうが話しやすいとは思う。……けど、それをチカちゃんの友達に話すのはいかがなものかと思うところはある。俺はクスリやってた奴らがパクられたって関連から、おまえの彼女がやられたと聞いたけど。…とは、チカちゃんには言わない。おまえに聞いたとも言いづらい話だよな」 「不用意に話題にはしてやらないこと。けど、…知花のことだから、誰にも相談せずに抱え込みそうにも思うんだよな。知花のまわりの女で一人くらい聞き出して吐き出させてやれる奴がいてほしいと思う」 「それって責任?」 聞かれて、俺は少し悩んで。 逆手でキューを握って軽く手玉をついて玉をポケットへと落とす。 責任…か。 「なぁ?まったく無責任にどうでもいいと思っているよりはいいだろ?…ただの責任…とは言えないけど」 惚れてるから…、つらいことはもう過去だと忘れてしまってほしい。 それでもつらかったと泣いて甘えたいなら、いくらでも甘えさせる。 俺に対して甘えられないなら、他の奴でもいいから支えてやってほしいと思う。 無責任にはなれないけど、責任と惚れている気持ちの狭間。 「……おまえがすべてに無責任な男なら、今頃、敵が山ほどいるだろうな。堕胎させた女が山ほどいたり」 「……つきあった女全部とセックスしたみたいに言うな。つきあってもしなかった女もいるっ」 「3日で別れたのとか?」 何か隆太に虐められている気がしてきた。 俺は隆太に蹴りをいれる。 隆太はかわして仕返しに蹴ってくる。 この蹴りあいのおかげで俺は反射神経鍛えられている気がする。 疲れてやめて、俺は日時だけを隆太に告げて店を出る。 隆太が賛成しないときはいいことがない。 あれでも俺のことを考えてくれるから頼りになる。 いいことはないけど…。 知花の連れてくる相手次第…といったところか。 口が軽そうなら言わないほうが懸命。
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