584人が本棚に入れています
本棚に追加
寒い冬が終わりを告げても、俺は知花と変わらない暮らしをしていた。
仕掛けられて、やっぱりダメと言われて、結局襲うそのパターンも変わらないまま。
セックスなんて欲望の塊のような気がするけど、知花を抱けば抱くほど愛しくなる。
俺にさらけ出された知花の本能の一部に更に堕ちる。
少し潤んだ熱のこもった目で、その口を塞いでその体を感じさせる俺を見てくる。
手にかかる知花の荒い呼吸と溢れるくぐもった甘い声。
俺の呼吸も荒くて、気持ちよさに声が漏れそう。
手をはずしてやると、知花は枕を噛んで声を堪えながら、やっぱり俺を見上げてくる。
何がそんなに見たいのかわからないけど、気持ちよくなってる顔なんて間抜けな顔を見せていそうで恥ずかしい。
「見るなよっ」
「…だっ…てっ…。あ…っ、も…だめ…」
「気持ちいい?」
知花はうんうん頷いてくれて、俺は更に知花を感じさせるように動く。
知花は口を枕に押しつけるけど、その声は溢れまくって。
俺は知花の体に重ねるように体を倒して、その顎を掴んで顔をこっちへ向けさせて、キスで唇を塞ぐ。
暴れないように縛っていたその手首の紐をはずしてやると、知花の両腕は俺の背中にしがみつくように抱きついて。
俺は知花の顔を見下ろしながらその口の中も犯す。
どこまで堕ちていてもいいのだろう?
別れはまたくるんだろうか?
今度別れたら、俺、一生、誰とも恋愛できない気がする。
…それって、つまり、ハマりすぎ?
依存しすぎ?
目の前に見えるその感じてくれている綺麗な顔に興奮は消えない。
気が狂うまで感じさせたい。
俺だけの女であるように。
俺しかいらないと言わせられるように。
心も体も俺だけのものにしたい。
言葉遊びみたいなものではなく、心からそう思う。
そんな自分にダメだなと思う。
思うけど、自分の気持ちなんて操れるものじゃない。
操れなければ破滅。
そう思うけど。
知花はイッて、俺はその頭を包むように抱いて、顔中にキスをしてやる。
「まだ俺イッてない。まだくたばっちゃダメ」
「死んじゃう…」
「気持ちよすぎるの嫌い?」
知花は恥ずかしそうに俺の肩に顔を押しつけてきて、俺は少し笑う。
一生、このまま抱き合っていたい。
最初のコメントを投稿しよう!