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「気持ちいい…。彼女の膝枕って憧れてたんだよなぁ」
俺が幸せに浸りまくっていると、
「元カノたくさんいるのにしたことないの?」
知花は俺の幸せをぶち壊すようなことを言ってくれる。
いるけどっ。
それを今言わなくてもいいだろと思う。
「だからっ。知花にはよくわからないかもしれないけど、それだけの数にフラれてんの。普通に情けなくて泣ける話をしないでくれっ」
俺は目を開けて知花を見て、この幸せをぶち壊すなと言ってやる。
ここに俺がいて、知花がいて。
過去も未来も見ないでいられるのが一番幸せに思う。
知花の口元は少し笑って、俺の頬を軽く摘まむ。
微妙に虐められている。
「なんでフラれるかわかる?」
知花は更に聞いてくれて、俺は溜め息をついてしまいたい気持ちで知花から目を逸らした。
聞かないでほしいこと。
言わないでほしいこと。
そういうものはいつもすべて伝わるものでもない。
俺と知花は別の人間だから。
「……それだけの人数がいればその時々で違う」
俺はそこまで答えて、フラれる理由を、いつも思っていることを考えて。
かなりネガティブな俺を見せることになるけど、それも俺だと知花に理解してもらいたくて続けた。
「ただ言われる言葉は同じ。最初からその程度の気持ちで、最後までその程度の気持ちしか抱けない男なんだと自分を理解している。
いいんだけど。……つきあうって意味ないって思った。何も変わらない。ただ少しの特別があるだけ。なら、その特別が見られればいい。
俺を好きなように独占して、彼女だとまわりに見せて。
そういう恋愛ごっこ。
けど、そんなごっこ遊びでも、その時間だけは俺だけのもの。すぐ……いなくなるけど」
口に出して吐いてしまうと、重く苦しいものが俺の中に戻ってきた。
知花といるこの時間。
これもまた恋愛ごっこなのだろうかと考える。
知花もすぐにいなくなってしまうのだろうか。
また友達でいようと言われるのだろうか。
知花の手は俺の頬から髪へ。
ゆっくりと撫でてくれるその手に甘えた感情が更に出てくる。
俺は目を閉じて、その甘えを見せたら、またろくなことがないだろうと思いながらも続けた。
愚痴った。
愚痴なんてただの甘えだ。
慰められたいだけの甘え。
けれど、俺は知花に言うまで、すべてを知っているはずの隆太にも言わなかった。
知花の俺の髪を撫でてくれるその手に甘えた。
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