Dreamy recollection

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「ごっこ遊びの理想そのままをやってくれるのがミクだった。好きだという感情をぶつけて、嫉妬しまくりで。……でも、そんな姿をしてみせていたくせに、簡単に隆太に乗り換えた。俺には友達でいてね、相談にのってね。 なのに、久しぶりに会ったと思ったら、やりなおそう。隆太にフラれたらしい。俺は都合のいい恋愛ごっこのお遊び相手」 それでもそんなミクのその態度に惚れていたと知花に気がつかされた。 ミクと別れたあとの、いつもより大きかった胸の穴はそういうことだろう。 俺にとってはお遊びでもないのだけど、最後がすべて同じなのだから、3日のつきあいも3ヶ月のつきあいも、すべて同じなのだろう。 そう思うと、すべてが虚しくなる。 短い期間は、その期間だけは、俺だけの女でいてくれるけど。 結局、それもすべて…。 「……元カノとは言うけど、全部、ただの友達」 俺は溜め息を溢すようにその言葉を吐いた。 そう相手が望んだのだから。 それ以上のつきあいはどこにもなかったのだろう。 俺だけの女なんてどこにもいなかったのだろう。 3ケタ近くもつきあったくせに。 すべてに同じ言葉でフラれた俺のことなんて、知花には理解できないだろうけど。 だからこそ、せめて俺の過去にふれないでもらいたい。 ただの友達でしかないのだから。 俺は右耳のピアスにふれて。 嫉妬はしてくれていないのだろうと、これを拾ってケースに戻した知花を思い出す。 こんなもの捨ててしまえと知花に言われることを望んでいても言われる様子もない。 これをつけているのが当然のように見られている。 どんなに俺が気持ちを持っても、同じ気持ちを持ってくれる女なんていないのかもしれない。 ただ、それでも今の俺は知花しかいらない。 俺はピアスをはずして、目を閉じたまま投げ捨てた。 どこに飛んでいったのか、誰かにぶつかったのかもわからない。 捨てた。 「なぁ、知花。おまえがどうしてもただの友達がいいなら、俺もそれでいいから。ただの友達のほうが、こうして甘えられるなら、そのほうがいい。おまえに惚れてもらえる俺なんて幻想だ。俺なんてこの程度の男だよ。フラれる理由なんてありすぎる」 俺は目を閉じたまま、俺のすべてを知花に伝えて。 泣きたいくらいの気持ちでその膝に甘えていた。 俺の手に知花の手がふれて。 今は…まだここにいてくるその手を強く握った。
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