Desertion

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「もうイキそう。もう終わり」 俺は気持ちよさにぼんやりした頭で言う。 避妊もしてないし、上に乗られてたらイキそうになっても外に出せない。 じゅうぶん求められた。 心はすごく満たされてる。 かなり愛しい。 俺は腕の中の知花の体をぎゅうっと抱きしめる。 「やだ…。もっと…」 俺の耳元、そんな知花の求める言葉。 「エッチ」 言ってやると、知花は俺の体にしがみつくように抱きついてきて。 繋がったまま、俺はその背中を抱いて起き上がって、俺の膝の上に乗るような形になった、少し上に見る知花の唇にキスをしていく。 知花がしてくれたぶんのお返し。 その頭に手を当てて、舌を知花の舌に絡ませて。 存分にキスすると、唇と舌を首筋に肩に胸に。 本気で愛しくて。 その漏らす荒い呼吸もかわいくて。 またこのまま抱き合っていたいなんて思ったりする。 胸を攻めると知花は背を逸らして。 俺はその背中を抱いて、ひたすら胸を攻めながら、突き上げて感じさせる。 知花がもしも俺と別れたいと言っても、簡単には了承できそうにない。 もっとずっと俺を求めてくれていればいいのに。 こんな俺だけど、知花に惚れてる気持ちだけは、きっと誰にも負けない。 きっと、高校の頃からずっと、俺は知花が欲しかった。 給料が入ると知花に青いピアスを買ってやった。 普段からつけていられそうな小さくてシンプルだけどデザインの凝ったピアス。 色は俺の好みだ。 俺の色に染めてやる…的な? 小さくても石はサファイア。 それなりに奮発させてもらった。 クリスマスも誕生日もモノというモノをプレゼントしていない。 ニット帽といい、ピアスといい、俺はなんでもない日にいきなりプレゼントを渡してしまうらしい。 このまま何事もなく、平和な日常が繰り返されればいいと思いつつ、右耳の穴を埋めるピアスをアクセサリーの詰まった箱から探す。 ここには乱雑に入れているはずなのだけど。 何か綺麗になっている気がして、嫌な予感がしながら、俺はミクのピアスが入っていたケースを開けた。 …戻っていやがった。 2つ揃ったピアスを見て、どう考えてもここに戻すやつは知花しかいないと思う。 おまえは俺を求めてくれるくらい俺に惚れているくせに、何がしたいんだと言いたくなる。 二度と戻せないようにゴミに出してしまおうかと考えて。 俺は俺からミクにメールをしてやった。 会いたいと。
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