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俺は言いたいことをひたすら並べてしまって。
知花が間に口を挟むこともなくて。
更に落ち込む。
「………なんか責めてる感じになってきたな。ごめん」
知花から手を離すと距離をとって、自己嫌悪にベッドに顔を伏せる。
自分が嫌になる。
今までの知花とのつきあいを思い出して、一つも俺の気持ちは届かずに独りよがりだったのかと思うと、情けなくて泣きたくなる。
何を言えば、どうあれば、俺は知花に信じてもらえるのか。
まったくわからない。
「襲われた責任だけで…いてくれてるのかって…」
「なぁ?責任が先にくるか、おまえに惚れてるのが先にくるかってこと?……責任は感じている。けどな、その責任だけでおまえが隆太と話していることに妬くと思うか?あいつにしか妬かないんじゃないかって思われているかもしれないけど。俺の女になった女に手を出すのはあいつしかいなかったからで…。更にはあいつに奪われた過去があるからで…。あいつが本当に簡単に奪ってくれるから…」
言ってるうちに沈んできた。
知花は俺を凹ませる名人かもしれない。
俺がどうしたいのか言うよりも、忘れていたいことを思い出してばかりだ。
「……話せば話すほど、自分の小さくて情けない姿を晒してる気がする。隆太への嫉妬もある。…かっこ悪すぎ」
なんでこんな隠しておきたいことを言わなければならないのだろうと思うと本気で凹む。
自分の程度を知るときほど嫌になることはない。
知花に背を向けていた俺の服は掴まれて。
「……私もミクに嫉妬してる。晃佑が好きになった人だから」
何を言うのかと思うと、そんなことを言いやがった。
あぁ、惚れていたよっ。
そこに嫉妬もらっても、ミクは俺に惚れてるわけじゃないっ。
そう言わせたいのか?こいつはっ。
「……今、ぐっさりきた。確かに惚れたっ。けど、フラれたのは俺だっ。俺に好きって言いまくっていやがったのに、隆太にいって?隆太にフラれたから戻りたいって言って?……おまえにはわからないかもしれないけど、気持ちを弄ばれるのは俺はもう嫌だ」
俺がまたミクに惚れても、ミクは同じ気持ちを返せない。
隆太に本気で惚れて俺から離れたのはミクだ。
好きとミクに言ってもらえるのはうれしいけど、そこにはもう戻れない。
そこに嫉妬をもらってもうれしくはない。
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