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2回別れて3回目のやり直し。
同棲はしていないが、お互いの家の鍵を持っていて、どっちかの家に泊まることはよくあること。
なんだかんだで知花とのつきあいが長くなっている。
俺の恋愛期間更新しまくり?
一人の女とこんなに長くいたことがなかったように思う。
いや、俺がその前にフラれてばかりなんだけど。
長くなっているが、知花は相変わらず俺の過去を掘り返すようなことを聞いてくれる。
普通にムカつく。
何度ももういいだろと、過去は過去だと見せても、また聞いてくれる。
それが疑いなのか、なんなのか、俺もどんどんわからなくなってくる。
まぁ、…愛されてはいると思う。
たぶん。
知花がバイトで遅い時はビリヤード。
隆太のバイト先が俺の行きつけ。
俺のほうが先にこの店の常連だったと言っておこう。
俺が隆太に絡んでいっているわけじゃない。
棚からマイキューを取り出して、おしぼりでキューを磨く。
磨けたら店内のお気に入りの台で玉突き遊び。
ビリヤード台にも癖というものがある。
貼られたラシャの微妙な傾きで玉の流れが変わる。
慣れた台は慣れた台。
その傾きもすべて把握できている。
一人ビリヤードで遊んでいたら、俺の携帯がめずらしく着信した。
この半年以上、連れという連れとのつきあいをほぼなくしていて、つきあいが悪いからと電話もあまりかかってこなくなっていた。
見てみると更にめずらしい相手。
千香だ。
知花のことで何か話でもあるのかと思って出てみると、暇だから遊ばないかの誘いだった。
俺は店内にいる働いている隆太を横目に見て、この店に千香を呼んだ。
「……紫苑、わざとここに呼んだよね?」
店にきた千香は隆太と言葉を交わすことなく、俺にどこか不機嫌にも思える声で言う。
「わざと」
言ってやると殴られそうになって、とりあえず落ち着かせて飲み物を聞いて。
隆太に注文しにいって届くのを待つ。
「で、連れの彼氏の俺に電話してきた意味は?狙われてる?」
「…狙うというより、毎日がつまらなくて、問題起こしてみたくなった。スギと紫苑なら別れても戻りそうだし、大丈夫かなと」
「…大丈夫じゃない。千香に手を出したら、本気で知花に逃げられる」
「大丈夫だって。その前に紫苑が手を出すと思わない」
なぜか何か信じられている。
信じられているのにこれって…、俺をからかって遊びたいということだろうと思う。
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