Day to day

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千香の手は俺に抵抗するように、俺の唇にふれて。 真っ赤になって俺から目を逸らす。 俺は千香の手を捕まえて、その唇に更にキスをしようとして。 千香は俺の胸に頭を押し当てて逃げた。 隆太の邪魔がなければ、千香に迫ってもらえていたかもしれないのに。 「……もうキスいい。いらない」 「…したかっただけ。…ちょっとは平凡な毎日の刺激になったか?」 「…かなり。すごくドキドキしてる」 「聞いてみたいかも」 千香の胸に耳を押し当てて、ブラウスのボタンはずして…。 食べたい…。 「…ダメ。その先までいきそうだから絶対にダメ」 俺の考え読まれるように言われて悔しくなる。 悔しくなったのに、千香は俺の背中に両腕を回して抱きついてきて。 その唇は俺の首筋。 息が微かにかかる。 その呼吸に俺のほうがドキドキしまくっている気がする。 腰にくる。 「ありがとう。もう電話しないから安心して。スギとのことならいくらでも聞いてあげるから。仲良くね」 う…。 体は目の前の女に反応しかけなのに、彼女を出される。 無理。無理無理。 俺、そこまで理性的じゃない。 千香の太股に腰を寄せてその顔を見ると、千香は真っ赤な顔で俺を睨む。 だって無理。 睨まれても無理。 「紫苑、…欲しくなるからダメ」 「流されてみる気ない?」 「ない。一時の感情でスギの恋愛、破壊する気ないから」 千香には冷たくされればされるほど、腰がひくつく。 「…お願い。抜いてくれるだけでもいい」 「かわいいから甘えちゃダメ」 千香は俺の首筋にキスをして俺から離れた。 どうしよう…。 すごい好みの反応。 知花は見せない反応。 軽くかわされて諭される。 …好きかも。 知花、疑って。 思いきり疑ってくれてもいい。 ここまでぴったりくるの初めて。 ミク以上。 諦めきれずに千香に手を伸ばすと、千香は笑って俺の手を指を絡めて握る。 「紫苑のこと、隆太を知る前に知っていればよかった。スギと戻る前にひっかけておけばよかった。……紫苑としてみたかった」 「すごい口説き文句じゃないか?それ」 「そう?すべてに遅かったよねって話なんだけど」 「次別れたら?」 「……わざとスギを傷つけるような真似をしたら…どうしようか?」 恐ろしい……。 別れたらすべてわざとと疑われそうだ。 なんてこと言うくせに。 「ごめんね。ありがとう」 千香は俺の手の甲にキスをくれる。 …もっとからかわれてやってもいい。
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