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すべての女にそうなるわけでもない。
知花というかわいい彼女がいるのに、何度も喧嘩して別れて戻ってを繰り返すのに、そんな余裕持てるわけがない。
千香は特別だ。
知花の次に本気で理想。
知花との間で合わない部分を千香にかえればぴったりくる。
…なんて、そんなことができるはずもない。
いいと思う部分があって、嫌だと思う部分がある。
それが普通なのだと思う。
人間だから。
知花がバイトでいない別の夜、俺は隆太に会いにプールバーへいった。
俺を見て思いきり機嫌悪く隆太は睨んでくる。
俺はカウンター席にまっすぐいって、そこに座る。
「…おまえ、出禁にしてやろうか」
「店長に了承もらえたらしてもいい」
「おまえのこと気に入ってるから、おまえ雇って俺のほうが追い出されるだろっ」
隆太は声をあげて、俺の前におしぼりを投げつける。
俺はおしぼりを手にして、手をふきふき。
「で、千香のことなんだけど。…あ、その前にビール」
「…おまえがああやって追いかける時には、何かはずしたことがない気がする。…浮気でもしたか?トモちゃんと半年のマンネリか?その相手に千香を選んだ理由はっ?」
隆太は慣れたようにビールサーバーからビールをついで、俺の前にそのグラスをおく。
どこまで嫉妬されているのだろう。
「キスはしたけどセックス拒まれた」
正直に言うと、隆太はカウンター越しに俺の頭を目掛けて蹴りを入れてきて、俺はビールを手にそれを避ける。
こんなバーテンダー、こわくて嫌だと思う。
「たまたま千香がいて、かわいいと思っていたら、その知花とはちょっと違う、からかうような姿勢がいいなぁと。知花のからかいは痛いこと多々ありだし」
理由をつけてやっていたら、今度はマドラーが飛んできた。
俺はそれを避ける。
アイスピックではなくてよかったが、ステンレス製のそんなもの当たっていたら痛い。
「千香に手を出すなっ」
「だったらおまえも知花に手を出すな。電話もかけるな、声もかけるな。俺はつきあってるけど、おまえ、つきあってないくせになに?その俺の女に手を出すな的なもの」
それが聞いてみたくてきた。
隆太の女遊びの理由ともいうべきところになると思う。
千香にまだ惚れていると言わせれば俺が満足するのか謎だ。
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