Day to day

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諦めたら終りだ。 俺が、知花が諦めれば、恋愛なんて続かない。 疲れることがあって当然で、楽しいことばかりじゃないのが当然。 満たされないことがあって当然で、足りないものがあって当然。 相手は自分じゃない、別の人間だから。 だからこそ、癒されることがあって、楽しいことがあって、満たされることがあって、幸せに思うことがある。 何もしないで不満ばかりが並ぶのなら、そんな恋愛やめてしまえばいい。 何もしない時点でその相手と共にいることを諦めているのだから。 知花が諦めて離れていけば終わる。 それでも俺が諦めていなければ、その諦めた気持ちをもう一度蘇らせることができたなら、また続く。 仕事が終わってまっすぐ家に帰ると、今から俺の家にいくと知花からのメールが入る。 よりを戻してから不満だらけの生活というものでもない。 以前より俺になついてくれていてかわいい。 千香に見せた浮気心がまったくの嘘というものでもないけど、別れたいなんて思う欠片はどこにもない。 いや、過去を掘り返されるのは嫌だけど。 明日は休みだし、夜更かしでいちゃつきまくろうと思っていたら。 知花は大量の酒を俺の家に運んできた。 「……知花?俺を酔わせてどうするつもりだ?」 「記憶を飛ばす」 知花ははっきりとどうしたいのか言ってくれる。 飲んでも飲まれない程度にちゃんと控えているのに。 「だから、記憶なくすくらいに飲んだら、その間の俺の行動や言動には責任持てないから嫌なんだよっ」 「大丈夫。私が責任とる」 「おまえに何か変なこと言って、おまえに何か変なことするかもしれないだろっ?」 もしかしたら千香とキスしたこと暴露してしまうかもしれないし、隠しておきたいことはある。 あるけど、酔った俺が何をするのか、本気で俺にはわからない。 「酔ってみないとわからない。おつまみ何か作るから先に飲んでて?」 知花はうれしそうにキッチンに立つ。 酔った俺とここにいる俺はそんなに違うのだろうか? 「……だから何するんだよ?シラフじゃ言えないのか?」 聞いてみると、知花は酔わせた俺を想像してか思いきり笑顔で。 更に嫌になる俺がいる。
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