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かわいいのだけど、以前よりも俺に何かをさせたがるというか…。
嫌なことをばんばん出してきてくれるというか…。
嫌になることは以前より多い。
「飲まない。絶対に飲まない。飲みすぎると途中から本気で記憶なくなるから」
「大丈夫。晃佑が泣いても誰にも言わない」
「……泣いたのか、俺」
俺はどこか情けなくて落ち込む。
「1回だけ。あとはいつもより笑顔で強引でえっちになるだけ」
「……つまりおまえは酔って記憶のなくなった俺としたいって?」
「誰も言っていません」
「言ってる。じゅうぶん言ってる。シラフでいいだろ?しよっか?飯食べて風呂入ってからな?」
俺もいちゃつきたかったし…なんて思っても、知花はどうしても俺を酔わせて記憶を飛ばしたいらしく、不満そうで。
それを見て不満に思う俺がいる。
シラフの俺に言えなくて、酔ったら言えるのもムカつく話だ。
俺の記憶がなくなることをいいことに、知花は何を言ってくれるのか。
どうにかしてそれを吐かせたくなって、俺は知花に後ろから抱きついてみる。
「言ってみな?俺に何かさせたいんだろ?どんなふうにされたい?」
耳元に誘うように声をかけて、いつもよりエロく強引にいってみた。
そういうのがいいらしいから。
俺は遊びのいちゃいちゃのほうが好きだったりするけど。
「……縛って?腕も足も全部」
知花はそんな思いもよらないお願いをしてくれて。
腕も…足も…?
俺は一瞬、言葉をなくした。
それ、思いきりSMプレイってやつじゃないのかっ?
「………なんでそれが酔った俺ならできるって思うんだよっ。知花のスケベっ」
俺は思いきり恥ずかしくなって知花に怒るように言って。
知花はしょぼんと落ち込むようなかわいらしさもなく、あからさまにその顔に不満をのせる。
落ち込んでくれたら、からかうように少しくらいやってやってもいいかなと思うけど。
本気で言ったのにとされると、恥ずかしすぎる。
返してやる言葉もないまま、一緒に食事を作って、一緒に食べる。
無言だ。
あまりにも悪い空気に、酒に逃げて、知花の望みどおりに酔ってやろうと飲む。
記憶をなくすのは本気で嫌なのだけど。
知花も酒に手をつけて。
無言でひたすら二人で飲みまくった。
知花のペースが早くて、それに合わせてやっていたつもりだけど。
俺のほうが酒に強かったらしい。
知花はいきなり泣き上戸になった。
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