Day to day

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なんでもない時間を、なんでもない日々を知花と過ごしているのが好きだ。 たまに喧嘩して、いちゃついて、虐めて、虐められて。 泣きたくなるくらいつらいこともあったりするけど、俺はこの恋愛を諦めたくない。 いつまでとは言えない。 できるなら永遠に。 隣にかわいい彼女を連れて、いつもの繁華街。 その耳には俺がプレゼントしたピアスが揺れる。 俺を見上げて笑ってみせてくれて、俺もどこか照れながら笑う。 映画の帰り、知花が俺のよくいっていた店にいってみたいなんて言ってくれて。 少し不安ではあったけど、知花が望むならと連れていってみた。 久しぶりになるというのに、そこは相変わらずで、俺のまわりにはすぐに知り合いが集まってきた。 久しぶり、何してた?最近どうしてる?なんていうなんでもない会話。 …離れていても、また会えればそうやって話せる。 ただ、少しまわりに気をとられすぎて、気がつくと知花は俺の手を離してどこかにいってしまっていて。 「悪い。彼女行方不明。探してくる」 俺は会話を切るように言って、知花を探して店の中を歩く。 照明は暗いし、人もそれなりに入っているし、すぐに知花を見つけられなくて。 また俺が他の誰かと話していたから怒らせたのかとか、また喧嘩になるのかとか。 誰かが俺に恨みでも抱いていて、知花が連れ去られたかとか。 悪い想像ばかりして、必死になってきたとき、その背中を見つけた。 高校の頃に見ていた背中とそう変わらない。 髪は短くなってしまったけど。 俺は安心した息をついて、その背中から知花に抱きついて捕まえた。 高校の頃にはふれることも声をかけることもできなかったけど。 今はここにいて、こうやってふれることのできる俺の彼女。 「やっと見つけた。知花、おまえ、勝手にどっかいくなよっ」 「ごめん。晃佑の友達の女の子に誘われて」 知花は俺を振り返りながら答えて、俺はすぐにトモを思い出した。 「…なにもなかったか?」 聞いてみると、知花は笑って頷いて、俺は心から安心する。 また俺に巻き込まれて嫌な目には合わせたくない。 これからどうする?とでも聞こうと思っていたら。 「コウ」 そんな俺の名前を呼ぶ声と共に、ミクが俺の腕にいつものように抱きついてきた。
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