Day to day

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「…ビリヤードやるときはスカート禁止。パンツ見えるっ。というか、見ようとしてる男がそこら中にっ」 俺が着せた…のだけど。 見ていたいようには思うけど。 そう言わざるおえない。 知花は少しだけあたりを見回してその視線を見てくれる。 「…でも晃佑、こういう服好きでしょ?」 「好きだけど…。おまえが他の男に見られるのはいや。…ビリヤードやめて帰ろうか?」 俺はかなり残念にも思いながら答える。 見たいけど見せたくない。 けっこうな我が儘かもしれない。 知花とビリヤードするのも初めてだし、楽しみにも思っていたけど。 諦めよう。 「嫉妬?」 「嫉妬。帰ろう?」 「帰ってなにするの?」 考えていなかった。 けど…、うん。 俺だけが見てふれられるその体。 昨日、濃厚なイチャイチャをしたばかりではあるけど。 「…イチャイチャ」 俺はごまかすように笑いながら答えて、知花の頭にキスをする。 知花はわかっているのかいないのか、どこかうれしそうに恥ずかしそうに笑ってくれる。 ラブラブである。 それでも喧嘩をするときはする。 かなりしょうもないことで。 痴話喧嘩がなくなることはなさそうだ。 「ねぇ、晃佑?昨日の飲み会、会社の人といったんだよね?」 何か疑われている。 いや、疑われる理由はわかっている。 「いった」 というのに嘘はない。 先輩社員に引っ張られて無理矢理連れていかれたとも言うが。 「キャバクラで飲み会っ?どこの親父っ?」 なんて知花はひそかに俺が捨てておいたキャバ嬢の口紅つき名刺を大量に投げつけてくる。 俺が悪いんじゃないっ。 大量に持たされた事実はあるが。 絡まれてはいない。 あっちも仕事。 こっちもただのつきあい。 またきてねと名刺を持たされただけだ。 …まぁ、微妙にアピールはされたけど。 「仕事女に妬いてどうすんだよっ」 俺は言ってやる。 「妬いてないっ!女に囲まれていい気になってたんでしょっ?」 疑われている。 思いっきり疑われている。 俺は知花や千香のほうが好みなのに。 高級クラブのお姉様方に囲まれたら、ちょっとはいい気になりそうではあるけど。 あんなのまわりに普通にいる。 いい気になんてなるはずもない。 それでも疑われる。
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