Day to day

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気にかけてしまう。 彼女がいるのだから気にかけてくれなくていいと言われても。 知花といると千香に電話をかけてみる時間もなく、それでもリダイヤルのその番号を眺めてしまう。 知花の携帯からかければ出てくれそうな気がする。 出てくれたからって…、何を話すこともできないけど。 他愛もない話くらいしかできないけど。 大丈夫と無理に強がる顔を見せられたくない。 仕事の帰り、単車に寄りかかって、千香に電話を入れてみた。 コールはする。 出てはくれない。 何か知花とつきあう前にしていたことと同じことをしているかもしれない。 気になる女は気になる。 愛か友情かなんてわからないけど。 コールは続くばかりで留守電になることもなく、そのうち切れる。 寂しく思いながら携帯を眺めて、諦めた息をつきながらポケットへと突っ込み、メットを被る。 もう一言、押しておけばよかった。 なんて。 その後の責任なんてとれる気もしないのに思う。 かなり偽善のような気がしてきて、嫌にもなる。 ただ…、かわいいと思った女に笑ってもらいたいだけ…。 浮気心として知花に咎められたのなら反省してやる。 するだけ。 気持ちは変えられない。 家に帰ると知花がきていて、またいつもの生活。 飯を一緒に作って、食べて…。 風呂からあがると、知花は電話をかけた。 軽く聞き耳をたてていると、相手は千香のようだ。 俺の電話だけ無視されている。 ムカつく。 俺は電話をしている知花のそばに寄って、千香がどんなことを言っているのか聞いてやろうとした。 「晃佑、髪濡れたままっ。乾かしてよ」 なんて知花に怒られる。 タオルで適当に拭って、もう一回聞いてやろうとしたら、知花は俺から離れるようにベランダへ。 かなりの不服である。 ベッドに倒れて、携帯を手にして。 知花と電話中とわかっていながら千香に電話をかけてやる。 千香の電話はコールした。 どうやらキャッチでもつけているらしい。 「晃佑っ、電話の邪魔しないでっ」 なんて知花の声がベランダから聞こえてくる。 俺は電話を切って、俺の呼びかけには応えてくれない女に頬を膨らませて、半分泣き寝入り。 ……本気? たった一言。 本気で。 その会話だけで始まりそうな危うさを避けられているのは、よーくわかっている。 でも……半分、本気。
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