Cage(Chika↓all)

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隆太のにおい、隆太の体温。 それを感じるとドキドキして、うれしくて、どこか落ち着いて。 ぎゅって強く抱きしめられたいから、私は強く抱きつくのだろう。 だけど、隆太の手は私の背中に軽くふれるだけ。 私は私を押しつけてしまっている? 私の気持ちを押しつけてしまっている? どれだけ好きでいていいのかわからない。 どれだけそばにいていいのかわからない。 隆太から私にふれようとはしない。 雨の日は自転車の後ろに乗れない。 並んで歩いて、目的地のゲームセンターに辿り着くと、隆太は隆太の好きなゲームをしている。 私はおとなしく見ていたり、別のゲームをしていたり。 ふれることはない。 隆太が冷やかされるのを嫌がるから、近くにもあまりいかない。 ここは学校から近くて、同じ学校の子も遊びにくる。 一人でクレーンゲームをして、ワンコインでお目当てのぬいぐるみを取れて、ちょっとうれしくて隆太に自慢しようと探してみると、隆太は原田さんといた。 距離があるし、まわりの音もあるし、会話は聞こえないけど。 隆太は原田さんに飲み物を買って渡して、原田さんはすごくうれしそうな顔を見せる。 そのまま隆太の腕をひいて、ベンチに座って、隆太は原田さんにつきあうように原田さんの隣に座る。 邪魔をしないほうがいいのかなと思って、私は一人、別の階にいって、ベンチに座って、ぬいぐるみとデートをする。 彼女…なんだし、なんて思っても、声をかけられなかった。 私の隆太…なんて、とても言えなくて。 隆太の友達の前では隆太に声をかけちゃいけないみたいだし…。 嫉妬、しないわけじゃないけど。 自分がどうすればいいのかわからない。 私のしたいこと、してしまいたいこと、すべて隆太の迷惑になりそうで何もできない。 何が正しいのかわからない。 ぐだぐだといろんなこと考えていた。 戻っていいのかわからなくて、このまま帰ったほうがいいような気もして。 隆太が探して見つけてくれないならと、1時間過ぎて、私はゲームセンターを出る。 傘を広げて、空を見て、彼女なんかじゃないほうが気楽なのか、なんて考える。 好きだけど。 他の子と仲良くするなら、私はいなくてもいいんじゃない?って思う。 好きだけど。 好きだから、悩んで考えて寂しくなる。
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