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なんで放課後、毎日のように会うのが普通になっているんだろう?なんて考えて。
考えたくなくて、煙草に火をつけて煙草が燃え尽きるまでの時間、ぼんやりと過ごす。
制服に煙草のにおいが残りそうで、ブレザーを脱いで2本目。
公園にめずらしくきた親子連れは、私を見ると別の公園にいこうと逃げるように歩き出す。
私は素行の悪い人間のようだ。
麻薬をやっているわけでもないのに。
鼻先に香る煙は隆太のにおい。
3本目に火をつけて、一口吸ったところで私の吸っていた煙草を摘まむ指。
視線をあげると隆太だった。
「昨日、何してた?」
私の煙草を奪って一口吸うと聞いてきた。
「教室でぼんやりしてた」
「…携帯持ってない?」
「すっごく今更」
私はスカートのポケットに入れていた携帯を手にして、隆太の前に見せる。
「…昨日、俺、ここにいた」
隆太は私の携帯と自分の携帯を弄って、メアドと番号の交換でもしてくれているらしい。
「私もひたすら待っていたことあるよ。隆太はこなかった」
「あれは親からの呼び出し。けどっ、これでもうすれ違わない」
隆太は私の手に携帯を返してくる。
私は自分の携帯を眺める。
会う必要もなくなるんじゃないかなって思ったりもする。
「……予備校、行かなくていいの?隆太が目指してるのって、やっぱり弁護士?」
「法学部なんて、未成年喫煙で法を冒している俺に似合わなさそうなのにな。弁護士は親の理想。予備校行くより俺は千香といたい」
それは甘い言葉のようで、甘えた言葉のようにも思う。
隆太のほうを見ると、隆太は携帯を見ていた。
じっと見ると、隆太は私の視線に気がついたかのように私を見る。
「…隆太が法学部受かったら…えっち、しようか?」
「……受かるまでおあずけ?って、おまえ、それ言うだけだろ」
言ってみただけ。
ばれちゃってる。
だけど…、予備校、タダじゃないだろうし。
ちょっとだけ、このままでいいのかなって思ったりもする。
「受かるまでおあずけ。…どうせ隆太、手も繋がないししないでしょ」
「…俺がむっつりだってわかってるくせに」
「したいの?なら、予備校行かなきゃ。小学校や中学のときみたいに、また落ちて適当なところ入って遊ぶだけになるんでしょ」
挑発するように言ってやると、隆太は悔しそうな顔を見せる。
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