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飴を口の中で転がしていると、私の肩はいきなり階段の壁に押しあてられた。
ちょっとびっくりしながら隆太の顔を見ようとすると、見る暇もなく、言葉も出ないまま、私の唇に隆太の唇がふれた。
目を閉じることも忘れていた。
柔らかい唇と、隆太の目を閉じた長い睫毛。
唇が離れていく。
「…味、わかんなかった」
言ってみると隆太は少し照れたように笑う。
もう一回って感じにキスをくれる。
目を閉じるとドキドキして、やっぱり味なんてわかんない。
隆太の服を小さく掴んで、ドキドキと唇を塞がれている息苦しさに、唇の端から小さく息を溢す。
隆太の手は私の頭にふれて、髪に指を絡めて、その唇で私の唇を撫でるかのように動かす。
隆太の舌が私の唇にふれて、隆太の口に入れた飴玉を押し込んできた。
口の中のレモン味にいちご味が混じる。
目を閉じて、ひたすら隆太の唇を感じていた。
隆太の舌がふれて、私はその舌に飴をふれさせる。
受け取ってくれないから、私から隆太の口の中に飴を渡す。
唾液の絡まる音と、息が漏れる音。
隆太は息を漏らしながら、私の耳に首筋に舌を滑らせてきて、私の唇からまた息がこぼれる。
体は軽くひくつく。
隆太の手は私の制服のリボンをほどいて、ブラウスのボタンをはずしていく。
「…千香、止めないと。俺、止まらない」
「だって…気持ち…いいよ?」
私は薄く目を開けて隆太を見る。
隆太は私の胸に顔を埋めるようにキスをしまくって、顔をあげるとまた唇にキスをくれる。
唇を離すとなんだか色っぽい顔を見せてくれていて、頭の中身、蕩けたように隆太のその顔ばかり、ただ見つめちゃう。
「……俺も気持ちいい。……ラブホ…は金ないし、俺んちくる?」
「親いるよね?」
「……母親、専業主婦やってるから、いつもいやがる。…忍び込めばいい」
「そこまでは…遠慮しとく」
私はブラウスのボタンをなおしていく。
「千香…っ、……したい」
隆太は恥ずかしそうに私の耳に唇を寄せて言って。
なんかかわいくおねだりされてしまった気分になる。
「……法学部受かったら?」
「…絶対、それまで我慢できないってっ」
真剣に言ってくれるから、私は思わず笑った。
両手を隆太の背中に当てて、私からもう一度、その唇へキス。
鼻先に香るのは、いちごとレモンと煙草のにおい。
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