Code

4/19

584人が本棚に入れています
本棚に追加
/606ページ
「で?おまえは俺を振って、山瀬とつきあうつもりかと思えば、山瀬も振って?今は?」 「彼氏いない。だから別にナンパくらい…」 「俺を振って?ナンパにはついていくって?ついていって何するんだよ?」 なんだか威圧的だ。 恨まれているらしい。 それはよくわかる。 「…遊ぶ」 「こんな時間から遊ぶって、3Pでもして遊ぶのか?」 「そういうのはしないってば」 私だってそういうことになるなら、ちゃんと断る。 酔っていない。 判断能力くらいある。 「おまえがする気なくても、相手がどう出るかなんてわからないだろっ」 なんか父親みたいに怒ってくれている。 私の父なんて、お金振り込んでくれているだけの顔を合わせていない人になっているけど。 「隆太に言われることじゃないっ」 言い切ってあげると、隆太は私の腕を強く握って、私を引っ張って歩き出す。 キレた。 私、別に隆太の邪魔もしていないのにっ。 「ちょっと痛いってばっ。どこいくのっ?」 「ラブホ。千香、言ってたよな?法学部合格したらって。合格したからいただく」 「それって1年以上前の話でしょっ?」 「ナンパ男にヤられても構わないって思うなら、俺にもヤらせろっての」 思ってない、思ってないっ。 そういう態度に隆太には見えたかもしれないけど、私はそこまで軽くないっ。 というか、えっちしたことないっ。 私はなんとか隆太の手から逃れようともがき、隆太は私の腕を離してくれたかと思うと、肩を抱く。 「ちょっと待って、隆太っ」 「千香が覚悟決めろよ」 私の肩を捕まえた隆太の手は私の髪をかきあげるように、私の頭を撫でる。 目の奥の記憶や感覚から、隆太が私を好きだからとか、望んでいるからなんてとても思えなかった。 そりゃ私にとっては、どこかの知らない誰かに無理矢理されるよりはいいかもしれないけど。 隆太は私の知っている隆太じゃない。 不安になる目を隆太に向けることもできなくて。 本当にしてしまうのか迷う気持ちのまま、本当にラブホまで来てしまって。 隆太がどこか慣れたように部屋を選んで鍵を取るのを見ていた。 初めて…は、童貞の人が……よかったかも。 比べられそうでいや。
/606ページ

最初のコメントを投稿しよう!

584人が本棚に入れています
本棚に追加