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朝ごはん抜きでひたすらいちゃいちゃして、ラブホを出てお昼ごはんデート。 奢ってもらってばかりだ。 隆太は学生で私は働いているはずなのに。 「家くる?一人暮らししていて、この近く」 「ラブホ行かなくてもよかったんじゃない」 「…ラブホのほうが逃げられなさそうだったから。千香は?実家?」 「実家。一人暮らしいいなぁ」 「狭いけど。くる?」 きてって言ってる。 うれしそうな楽しそうな顔しないでほしい。 私が喜んでしまうから。 「いかない。昨日と同じ服だし着替えたいし」 「じゃあ今度?メアドかえたよな?教えて」 メール、送ってくれたことがあるみたい。 新しいメアドを隆太に教えて、のんびりデート。 私は隆太に愛されているような気がする。 だけど。 偶然ばったりっていうのは私と隆太だけに起こるものでもなくて。 「隆太」 なんてかわいい女の子の声に顔をあげると、かわいい女の子がかわいい笑顔で隆太に手を振っていた。 繋いでいた手を私から何も言わずに離した。 「隆太、昨日なにしてたの?メールしたのに。…あ、こんにちは」 かわいい女の子は駆け寄ってきて隆太に声をかけて、私にも笑顔をくれる。 何も言われなくても隆太の彼女だなと思った。 私の隆太はどこにもいない。 愛して…くれている…はず。 そう思うけど。 「こんにちは。…じゃあ、帰るね」 私は逃げるように隆太から離れようとして、隆太は私の腕を掴んだ。 「ごめん。俺、もうつきあえない。見ての通り何度も振られてるけど、こいつのこと諦めきれていない」 道の往来で何を言ってくれるのか。 私はどれだけ女の子に恨まれてばかりになればいいのか。 隆太はどこまでなにを考えてくれているのか、そんなことをいきなり口にした。 隆太の手を振り払おうとすると、隆太の手は強く私の腕を握る。 彼女の視線が痛い。 「……隆太、冗談やめて。隆太んちいこ?なんにも聞かなかったことにするから」 彼女は隆太の腕を握る。 私を睨んでくれる。 その目は高校の頃を思い出す。 「手を離して。隆太を振りまくりの私がそんなに憎い?女同士の争いが見たい?そういうつもりないなら、片付けてからにしたほうがよかったんじゃない?」 隆太を見上げて言うと、隆太は私の腕を掴んでいた手を離してくれた。 ただ、大好き。 気持ちは離れられないまま、背を向けるのは私。
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