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自分の気持ちがぐちゃぐちゃ。 一歩ひいているから…なんてわかっていても、自分で自分の背中を押せない。 隆太から電話がかかってきた。 私は荷物を持って部屋を出る。 階段で降りてマンションを出ると、隆太は車の外に出て、携帯を片手に待っていた。 「遅すぎ。なにやってたんだよ?」 ちょっと怒ってる。 もっと怒って呆れていなくなってしまえとも思う。 「女の子と話していたの誰?」 「見ていたのに降りてこなかったってことか。絡まれていただけ。千香がきて追い払ってくれればいいのに。荷物」 隆太は手を差し出してきて、私は隆太に近寄ると、その胸の中に倒れ込むように頭を寄せる。 隆太の手は私の背中を抱いて、あやすように頭を撫でてくれる。 隆太の鼓動が耳に聞こえる。 「腹鳴りそう。なに食べたい?作るか買っていくか食べにいくか、どうする?」 「……女関係、きれいに片付けてから追ってよ」 「……ごめん。…だからっ、何度も言い訳してるだろっ。何度も俺を振ってるのは千香だろっ」 「すぐに彼女できているのは隆太。……ねぇ?もうやめていいよ?隣の部屋の住人とつきあえばいいじゃない。つきあって、その子に隆太が振られたら拾うから」 なんて言ったら、私の頭は叩かれた。 軽くだけど痛い。 顔を上げると隆太が怒っていた。 「なんで惚れている女、目の前において他の女にいかなきゃならない?おまえの隣の部屋の住人にははっきり言ってある。あと、おまえが思うより、おまえの隣の部屋の住人は強いから、本気で俺を欲しいって思えば、あっちがおまえに宣戦布告してくる。そうなってから言ってくれ」 「勝手に相手の気持ち、決めつけんなっ。それは隆太がその子の気持ちを潰そうとしているだけじゃないっ」 「踏み潰すものだろ?あっちもこっちも本気で惚れてるなんて言える男じゃない。どの女にも平等でいろなんて無理だ。そうやっておまえも俺の気持ちを踏み潰してるだろ?俺におまえの考えを妥協させるのはまちがってる。俺が惚れてるのはおまえだから。 …こんな喧嘩、無意味だろ。 身辺整理が下手なのは謝る。おまえに反しまくるけど、整理するほど相手の気持ちを踏み潰す。その意味を理解できないとは千香には言われたくない。千香なら意味わかるだろ?おまえは考えなしの馬鹿じゃない」 隆太は私の目をまっすぐに見る。 考えなしの馬鹿と罵られたほうがいいように思う。
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