Cry with pain

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「…落とすつもりもないのに、それ、卑怯」 「千香ん家帰ったらヤル気はある。ここでしたら警察に捕まる」 紫苑の手は私の太股にふれて撫でて、私は紫苑の背中に腕を伸ばす。 紫苑は私を膝に乗せるように起き上がる。 お尻にふれてくる紫苑の手を手を重ねて止める。 「まったく紫苑に興味ないとは言えないから、からかっちゃだめ」 「…半分本気」 「スギを泣かせたら…」 「なんで俺が脅されるほうに…っ。…千香。千香ちゃん。隆太に言ったりしないから、正直におまえの気持ち言ってみ?まだ隆太が好き?」 紫苑は私の頬に両手を当てて、子供をあやすような目で私を見てまだ聞いてくれる。 「……考えたくない。逃げていたい。…好きだから。きっと」 「……俺がそれ言われたら…。逃がさない。もっと惚れて。惚れてやるから。……って答える」 言われたい。 紫苑がまっすぐに目を見つめて言ってくれるから、落とされてしまいそうになる。 「……スギが羨ましい。隣の芝生は青く見える?…のかな?…でも、羨ましい。そんなこと言って私が惚れたらどうするの?」 「どうしよう?…とりあえず…キスする」 紫苑はキスしようとしてきて、私はその唇を手のひらで遮る。 「そういうの言ってくれる人、いない?」 「俺も半分本気だって言ってるのにっ。……連れと恋愛したことないからわからない。なぁ?千香は隆太にどうあってほしいんだ?」 「隆太の気持ちのままでいてほしい」 「本心?」 「そう。だから紫苑は何も隆太に言わなくていい」 紫苑は少し何かを考えて、私はこれがすべてとは言えないものを持ちながら、紫苑の肩に額を当てる。 だって、いつもいつも同じ気持ちでいたりはしない。 ひどく淋しいときには会いたいと思う。 誰を傷つけてもかまわないから一緒にいてと甘えたいときもある。 今、私がそう言えるのはここに紫苑がいてくれるからだ。 もう一つ、隆太は隆太の気持ちで、紫苑の元カノとちゃんと接して欲しいって思う。 隆太は……私のものじゃない。 「あいつとはけっこうな腐れ縁なんだけど。あいつが本気なのはおまえだけだと思う」 「…慰めてる?……体でなら慰められてあげようか?」 「……したい」 紫苑が馬鹿なことを言ってくれるから、手首のスナップきかせて、その頬を軽く叩く。 叩いて、撫でて、ありがとうと気持ちを込めて頬にキスをした。
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