Change one's mind

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なんだかミクを虐めているように思ってきた。 紫苑と隆太がここにいるから悪いとも思う。 本当は違うけど。 ミクの部屋を一度もノックできず、ここで会話する機会をもらっただけ。 ベランダにミクを連れ出して話すことにした。 カーテンを閉めて、部屋から見えないようにして。 「…コウちゃんを裏切ったから罰が当たったんです。友達顔も受け入れてくれない。わかっていて…声をかけちゃうんです。友達なんてなれないってコウちゃんにもリュウちゃんにも言われてるんです。……あたし、馬鹿だから、自分のことばかりで、傷つけた人のことなんて考えたことなかった」 ミクは溜め息をついて、ベランダの手すりに腕をつき、顔を隠すように腕に顔を押し当てる。 本音を話してくれているように思う。 笑顔で隠した本音。 傷ついてるなって思う。 「私も…あなたを傷つけた」 「千香さんはそしてあたしのことなんて考えて、リュウちゃんを振った。戻ったみたいで安心しましたけど」 ミクは顔をあげて私に笑顔をくれる。 「…ごめんね。ずっと…言いたかったの」 「千香さんは何も悪くないと思いますよ?そんなの謝られたら、あたし、いろんな人に謝りまくらなきゃいけなくなるじゃないですか。……リュウちゃんは千香さんを選んだ。それだけです。あたしに魅力がなかった。それだけです」 「タイミング悪かったって思う」 「違いますよ、それ。タイミングよかったんです。リュウちゃん、あたしに振り回されることなかったんだから。……すごく…好きになっちゃった人だけど。たぶん初恋ってやつになるんだけど。…コウちゃんを傷つけて自分だけ幸せになろうなんて思ったのがまちがいだったんです」 「…私も、だから…いろんな人、傷つけたよ?」 「あたし、千香さんに傷つけられたなんて思ってません。そりゃリュウちゃんにフラれたばかりのときは、千香さんのこと憎んだりしたけど、いなければよかったのにって思ったりもしたけど、それはリュウちゃんが決めたことなんです。好きな人がいるからつきあえないって断られたんです。えっちしたくせにって脅したら、今日だけって朝まで一緒にいてくれたこともあったかな。…優しいからやっぱり好きだけど。好きだから…幸せでいてほしい。そう思えるようになりました。そう思っているはずなのに、リュウちゃんに甘えて…ごめんなさい」 ミクは私に頭を下げて、私は言葉に躊躇う。
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