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疑われても仕方のない性格だと自分を思う。
それでも好きだから離れないと言ってくれないと続かないのだろう。
自分の過去を眺めて、つきあった人たちの顔を浮かべて、そこにいるどうしても離れきれない人の服を、離れることがないように掴む。
ここにいるから…。
ここにいさせて。
私のこと、嫌いって言ったら離れてあげる。
軽い女はいやでしょ?
嫉妬じゃなく、嫌いと言われたら…。
それで終わる。
残るものもないくらいに終わるときは喧嘩をしてしまいたい。
終わる前に私の誰にも言えないものを聞いてほしい。
あなたが答えてくれた言葉を喜ぶのか、いやになるのか、悲しくなるのか、なにもわからないけれど。
終わりがくるときには知りたい。
紫苑もくることがなくなって、私はいつもの毎日を過ごす。
仕事して帰ってご飯食べて眠って。
起きて仕事にいって…の繰り返し。
仕事帰りにふらふらと寄り道をすることもある。
喫茶店でコーヒーを飲んでいたら、隆太からのメールがあった。
バイトいってきますって。
戻れたけど、隆太は隆太で忙しいようで、毎日会えることもない。
明日が休みという日はだいたい隆太のバイトが入っていて、朝までバイト。
バイト終わったら会えるけど、ほぼ一日中眠ってるだけ。
起きたらまたバイト。
淋しい…。
思わず思ったままの気持ちでメールを返信していた。
誰か遊んでくれないかなと電話帳を眺めていたら、スギからメールがきた。
かまってーって甘えてみたら遊んでくれることになった。
喫茶店でそのまま待つこと1時間以内。
スギはきた。
「千香、いきなりすぎ。バイトないから大丈夫だったけど、加藤くんと何かあった?」
「平々凡々。もっといちゃつきたいくらい。スギは?紫苑とラブラブ?」
「普通。…ねぇ、千香。晃佑が千香の家にいってたとき、本当に何もなかった?ご飯あげていただけ?」
スギに疑われるのは私らしい。
後ろめたいものばかりになるのも嫌だなと思う。
「キスはした。ごめん」
正直に言ってみた。
「キスだけ?本当に?」
「えっちしてもよかったの?」
聞いてみると、スギはかなり複雑そうな顔を見せてくれる。
よくないと言い切らない。
言っていいのに、なぜか言わない。
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