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「うん。軽い。軽すぎる。本気になっていた私が馬鹿だ」
なんてはっきり言ってみた次には、
「……でも…」
なんて自分の気持ちを捨てきれないことを言ってしまいそうになる。
私、優柔不断なのかも。
情緒不安定ではあると思う。
「…無理せずに本気だったって認めれば?別に馬鹿にしたりしないってば」
「でも、だって、つきあって2ヶ月で終わってる。それに…晃佑、別れる前に女の子と手を繋いで歩いていたし…」
「何回も?」
「見たのは1回だけ。知らないところで浮気していそうとは思う」
私が答えると、千香は口にくわえた煙草を弄びながら少し考えて。
火をつけて一息吸うと、うーんと小さく唸る。
「私ね、片方だけの意見に同調するのが苦手なんだ。普通ならここで、そんな軽い人と別れてよかったじゃない…なんて言いそうなところなんだけど。紫苑のことよく知らないし、なんとも言い難い。遊んでいそうなイメージだったし、軽いのかもしれないけど。それは浮気だと決めつけるの嫌い」
千香はそこまで言って、煙草をもう一息吸って。
あぁ、千香だなぁと私は思う。
どこかクール。
千香のそういうところ好きだけど。
千香の言うこともわかるし、そう言ってほしかったような気もする。
「紫苑と連絡とらないの?」
「…だって…フラれたのは私だもん」
「気になるなら本人に聞くしかないじゃない。もしくはその相手。知ってる子?」
「…話したことはない」
「ねぇ、スギ。知らないこと、わからないことばっかりじゃない?気にならないの?」
気になる…から、いつまでも同じところをぐるぐる廻ってしまっているのかもしれない。
晃佑の気持ちをもう一度聞きたいように思う。
私が晃佑を好きなら…。
それでいいのなら。
戻れそうな気がするから。
…思っていても、そんな勇気はなかなか出ない。
完璧にフラれるのはこわい。
砕け散りそう。
「迷ってる?玉砕覚悟でいっちゃえばいいのに。ぐだぐだしてるの聞くのも好きじゃない」
千香は私の表情を読んだかのように、何も言わなくても言ってくれる。
私も好きじゃない。
ぐだぐだしていたくはない。
ないけど…。
やっぱりぐだぐだ。
先に進めない。
進めない…けど。
千香と話せば話すほど、このままでいたくなくなる。
どうにかしたくなる。
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