Change one's mind

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そもそも隆太が女の子をちゃんつけて呼んでるところから、何かが違う。 友達というのとは違うと思う。 どっちかというと狙っていた? どうしてもそう思ってしまう。 …疑ってもどうしようもないのだけど。 スギは隆太にとって特別? だから紫苑が私にかまってきていた? そんな構図を考える。 隆太と紫苑の仲がいいのか悪いのかわからないものの駒にされてしまってる…なんて考えると、少し虚しい。 …私にはその程度が似合うようにも思う…なんて自虐的になると凹む。 人見店長は紫苑を呼び出して、紫苑は本当にきた。 ちょっと酔ってる。 見たことないくらい酔ってる。 だってきた途端、べったりスギに抱きついて、スギがどれだけ振り払おうとしても、逆にキスしまくり。 そこまでの人ではないのはわかっているし、絶対酔ってる。 愛されてるなぁとスギを見てしまう。 「晃佑、酔いすぎっ。千香の目の前で絡みすぎっ」 「そんなに酔ってない。…千香?」 紫苑は普通にスギに答えて、私に視線を向けてにこっと笑う。 シラフにも見えるけど…、酔ってる。絶対。 私もにこっと笑顔を返して、紫苑から顔を逸らしてカクテルに口をつける。 「千香、なに?無視?せっかく両手に花になりにきたのに」 紫苑の手は強引に私の肩を抱いて抱き寄せて、スギの肩も抱いて。 私の頭に顔を擦り寄せてなついてくれる。 この酔っ払いをどうすればいいのかわからない。 わからないけど、私もかわいがってはくれるらしい。 スギばかりかわいがられるのを見ているのも淋しいから、ちょっとうれしく思う自分が厄介。 隆太はバイト中だし。 かまってもらえないのはわかっているけど。 肩に置かれた紫苑の手を見て、ゆっくりと離れさせた。 うれしいけど、隆太に見られて、疑いを持たれ続けるほうがいやかもしれない。 そう思ったから。 淋しくても我慢するべき時もある。きっと。 紫苑の手は私の腰を抱いて引き寄せて、慌てて逃れようとすると、更に引き寄せられて、膝の上に乗せられた。 腰をぎゅって抱かれてかなり恥ずかしい。 「やめて、紫苑っ。彼女はそこにいるでしょっ」 「千香を一人にしない。あんまり暴れるとスカートの中に手を突っ込むぞ」 酔っ払うとサディストも上昇するらしい。 なんの羞恥プレイだろう。 スギに助けを求めるように見ると、スギはかなり不満そうで。 私が悪いことをした気分になる。
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