Change one's mind

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酔えば紫苑のように正直になんでも言えるようになるかなと飲みまくってみたけど、気分が高揚して眠くなって、眠ってる間に時間は過ぎて。 隆太のバイトが終わって、約束通りに送ってもらうことになった。 飲んだのに眠ったから、少しお酒も抜けてしまった。 「トモちゃん、どっちに送っていけばいい?コウんち?トモちゃんち?」 「あ。晃佑の家で。ごめんなさい。お願いします」 隆太にスギは答えて、隆太は慣れたように車を走らせる。 スギと紫苑は後部座席。 私は助手席。 「なんで知花に聞く?俺に聞けばいいのに」 後ろから紫苑が助手席のシートに寄りかかって隆太に聞く。 「おまえ酔ってるから。もう二人して泥酔してくれるなよ。俺の寝場所奪われるのは懲りた」 「そんなの覚えてない。…おまえが知花に気があったのはよく覚えてる」 「…酔ってるからって…。気を向けたら即拒否されて終わった話だろ。千香とトモちゃんが気まずくなるような話題はやめろ」 「なぁ?おまえが女に手を出すのってめずらしかっただろ。知花は特別?」 「…千香は特別?」 こんな密室空間でその話題はやめてもらいたいと思う。 私もスギも何も言えなくて黙って顔を逸らしてしまう。 せめて私やスギがいないところでやってほしい。 「千香は特別。つきあったこともないのに特別」 紫苑の手が私の頭を撫でる。 喜んで…しまうじゃないか。 隆太がスギを特別って言うのはいやなのに。 複雑。 隆太の片手が私の頭にふれる紫苑の手を払って、私の頭を軽く抱き寄せる。 「絶対やらない。千香は俺の。…たとえば、あり得ないことだけど、トモちゃんとつきあえていたとしても、千香と会えたら千香に気をとられてばかりになっていたと思うから…。トモちゃんが特別だとしても、俺にとっては更に特別がいる」 「千香くらいしかまともにつきあってなかったもんな。言われなくても知ってる」 「……晃佑、嘘でもいいから加藤くんみたいに言ってほしいんだけど」 「俺の彼女はおまえだけ。…満足?」 紫苑の言葉に満たされないスギがまた紫苑をべしべし叩いている間に、紫苑の住んでるマンションに到着して。 おやすみって挨拶だけで、紫苑とスギは軽く喧嘩しながら降りて部屋に向かっていった。 あんまり知らなかったけど喧嘩の多いカップルのようだ。 しかもだいたいスギが怒ってる。 でも紫苑はスギの肩に腕を回して…、いちゃいちゃしているようにも見える。
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