Change one's mind

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ずっとずっと一緒にいたい。 ふれる唇の温度。 ふれた腕。 ひたすら唇を擦りあわせるようなキスをして、胸の鼓動が苦しくて、吐息と小さな声を漏らす。 唇が離れるから、ゆっくりと目を開けると、隆太は私を見ていた。 また唇に唇がふれて、車のシートに押さえつけられるかのように、隆太の体重が体にかかる。 このまま抱かれたいって思う。 両手を隆太の背中に回して抱きしめようとすると、シートベルトをはずす音。 私の足の間に入れるかのように隆太の膝が助手席のシートに乗る。 しっかり背中を抱いて抱き寄せて、隆太の手は私の頭を撫でて。 ずっとひたすらキス。 「……えっちしたい」 キスの隙間からおねだりしたら、隆太は唇を離して、荒くなった呼吸を私の顔の脇で整える。 「したくなるから言うなよっ。……明日、千香は仕事で俺は学校。もう1時過ぎてる」 「隆太なら5分で終われるでしょ?」 それは言ってはいけないことだったようで。 頬を摘ままれた。 痛い。 「早漏みたいに言うなっ。…千香と初めて迎えた朝がそれだったのはよく覚えてるけど、あれはあれで千香が挽回のチャンスくれなかったんだろ?それに、千香の家に泊まったときは、ちゃんとじっくりゆっくり…」 「…頬痛い。5分でいいからしてって意味…だもん」 「言われた俺のほうが恥ずかしい。おねだり禁止」 「また禁止っ?」 それってちょっと制限しすぎだと思う。 紫苑と会わないことくらいはいくらでも守れるけど、おねだりだめって言われたら、隆太になんにも希望を言っちゃだめってことになっちゃう。 それは違うと思う。 「……さっきのキスで俺も興奮したんだよっ。したいけど我慢って思ってたのに、おまえが言うからっ。しかも5分ってインスタントみたいにっ」 インスタント…。 ラーメンは3分だ。 うどんだろうか。 頬は摘ままれるし、納得しようもない禁止されるし、なんか冷めてきた。 隆太の体を押し退けて、泣きたくなりながら車のドアを開けると、隆太は両腕で私の体を捕まえてきた。 「……明日、遅刻してもいいなら一晩中…したい」 「もういい。真面目に学校いってる隆太の邪魔になるみたいだし、いらない」 隆太の腕をほどいていると、手をぎゅっと握られた。 「ごめんって。……泊まりたい。朝、ちゃんと起こすから。隣で眠らせて」 謝られると…、私がわがまますぎたように思える。
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