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「薄情…でしょ?」 顔をあげて隆太を見ると、隆太の手が私の頭にふれて撫でた。 ひたすら撫でられて、もういいよって思っていたら、今度は抱き寄せられた。 頭を隆太の胸に押しつけるように当てられて、自分から隆太の胸に顔を擦り寄せて、背中に腕を回す。 「俺も後悔はしないように…たまには親の顔を見てやるかな。ネット検索して出てくるから更に嫌になるんだけど。見る?」 頭をまだ撫でてくれながら、隆太は黙秘した親の話をしてくれる。 感想はくれなかった。 何を言われても私は喜ばないだろうし、それでいいように思う。 それでもここにいると抱き寄せてもらえたことのほうがうれしい。 頭を撫でてくれるのはもういいって思うけど。 …こんな私でもかわいがってくれる。 「見る」 答えると、隆太はパソコンの前の椅子に私を座らせて、横からマウスとキーボードをいじって、画面に弁護士事務所のホームページを出した。 そして出してくれたかっこいいおじ様の写真。 きりっとした感じの目元が隆太にそっくりかもしれない。 それよりも見たことがある。 「…テレビ出てる?」 「出てる。俺にはこいつは偽物弁護士にしか思えない」 隆太はディスプレイを叩くかのようにかっこいいおじ様の写真をつつく。 半分芸能活動の弁護士さん。 それが隆太のお父さんだったらしい。 ありふれた苗字だし、まったくわからなかったけど、よく見ると似ている。 更に隆太が嫌なのは、そんなかっこいいおじ様だからファンもいるということ。 画像を探せばけっこう出ている。 芸能人みたいだ。 「お母さんは専業主婦だったよね?」 「ここにいる」 隆太はディスプレイの写真を指さす。 美人だ。 お母さんとは思えないプロポーションで、やっぱり芸能人みたいだ。 「芸能一家?」 「目立ちたがりの弁護士と専業主婦。いい加減やめてもらいたい。本気でやめてもらいたい。俺が法学部嫌だったのも、巻き込まれそうだったから。2代目にされたくないから事務所も他を探してる」 「テレビ出てると広告料なしで事務所知ってもらえるから稼げるよね、きっと。そういうことなんじゃないの?」 「そういうことでも、どうせなら普通の弁護士の親がいい。こいつの脛なんてかじってやりたくないしバイトしてる」 「…かっこいいお父さんと美人なお母さんだと思うよ?」 「芸能人気取りの親なんていらない」
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