Shallow thought

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友達になれば変わる人も中にはいるかもしれない。 けれど、トモとは晃佑のこともあって、仲良くはできそうにない。 仲良くするふり…をしてみてもいいけど、私が負けるのは目に見えている。 自分の都合のいいように扱われそうでいや。 友達って…、利用するものじゃない。 「ちょっと待ってよ。なによ、その態度」 私は肩を掴まれて、思いきり絡まれる。 「なにが?目の前から消えてあげるって言ってるのに引き留めないで」 なんて私、負けっぱなしになれないで言ってしまう。 もちろんそれはトモに対する嫉妬なんていう気持ちもある。 私は晃佑と戻りたいと思っているし、譲る気持ちがない。 たとえトモが晃佑の浮気相手だったとしても。 私はひかない。 「ムカつく。偉そうに上から目線」 「だからなに?まだ私と遊びたいわけじゃないでしょ?」 「…遊びたい。つきあってよ」 ものすごくあり得ない。 楽しい遊びがそこにあるなんて思えない。 「遠慮します」 私ははっきりと答えて、トモに背中を向けて歩き出す。 そしたら…。 私の体は何かを当てられて、痺れて、気を失った。 今日こそは…って思っていたのに。 気がつくと、私は知らない部屋の中。 大きなベッドの上にいた。 口にはガムテープが貼られて、腕は後ろ手にがっちり縛られている。 動かない。 体もまだどこか麻痺してる。 耳に男と女が話す声が聞こえる。 何人かが同じ部屋の中にいるようだ。 笑ってる。 「ちょ、やりすぎじゃない?」 「キモチい。で?あれ犯してどうすんの?警察に垂れ込まれてパクられたくないんだけど」 「垂れ込めないように脅すネタつくればいいじゃない。ムービーで撮って、写真も撮って」 「恨みすぎだろ。逆恨み?」 「…別にそんなんじゃないし。もっとやれば?葉っぱ、まだあるよ」 絶体絶命というものなのかもしれない。 女の声はトモの声だ。 クスリでもやっているのか。 かなりやばそうだ。 …逃げることも不可能なようだ。 助けを呼ぶなんてできるはずもない。 私はトモにとって、かなり目障りな存在らしい。 頭は冷静に考えても、これから起こるんだろうと思えることに、体は勝手に震えていた。
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