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私は何をしただろう?
恨みをかったのはわかっている。
あの時、トモを本気でキレさせたのだろう。
初めて会話するには、確かに…、でも…、あっちもあっちだったと私は思う。
私だけが悪いとは思わない。
晃佑の彼女になったときから、既に恨まれていただろう。
じゃなかったら、初対面であんな睨み方をするはずもない。
つきあったのがまちがっていた?
つきあわなければ、私は晃佑にここまで未練を残すこともなかったし、トモにこんな仕打ちをされることもなかった?
もしもを今考えても遅い。
逃れることは何を考えてもできそうにない。
ベッドの上に乗りかかる誰かの体重で、ベッドは私ごと揺れた。
私は目を閉じていた。
私の顔にかかる髪をかきあげる手が頬にふれる。
男の手。
体は無意識に震えている。
「…なぁ?やめない?さすがにヤバイって」
私にふれた男は言ったけど。
「いい女でしょ?顔も体も整っていて。あたしが責任もつって言ってる。好きなように好きなだけ弄んでよ」
トモはそんなふうに男に言葉を返して、ベッドの上に乗ってきて。
私の服をハサミで切り刻んでいく。
抵抗なんてしても無駄だし。
私は目を閉じてされるがまま。
「ちーかちゃん。もう起きてるでしょ?目、開けてこっち見なよ。チカちゃんのためにいい男、揃えたんだよ」
私は目を閉じたまま。
トモは私の髪を掴んで強く引っ張った。
痛みに私の口から声がこぼれるけど、その声も口に貼られたガムテープで喉の奥に消える。
「坊主にしちゃう?似合うかもよ?」
トモは私の髪を強く引っ張り続けて、髪が切れたり抜ける音が耳に聞こえる。
痛みに悲鳴をあげたら声はくぐもる。
トモは私のくぐもった悲鳴を聞いて狂ったように笑い、爪を私の顔に突き立てて引っ掻こうとして。
「ボウズにする前にヤらせて」
男に声をかけられてその手は止まった。
「……いいよ。…あたし、この女殺しそう。殺しちゃおうかな。 ぼっろぼろにしてしまいたい。切り刻んで海の魚の餌にしてしまいたい」
笑いながらトモは言う。
もう…気を失ってしまいたい。
耳を塞ぎたい。
何をどう考えていいのかわからない。
言えることは、トモは狂っている。
それは…私のせい?
もう別れているのに、フラれたのに意味がわからない。
晃佑を狙う女なんてたくさんいるじゃないって言ってしまいたい。
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