Baby lover(Ryuta↓all)

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届きたくないようにも思っていた。 テレビの画面で見ているだけのアイドルのようなもの。 話したら違う印象で、俺の中の幻想が壊れそうで。 見かけるとうれしいけど、声をかけるつもりもない。 そのうち、連れの中に俺の視線の先を気がつくやつも出てくる。 コウはいつも一緒にいるようなものなのに、まったくもって俺に無関心。 何人目になるのかわからない彼女持ち。 コウはモテる。 男にも女にも。 俺の視線の先を気にしている余裕もないくらいに話すのに忙しい。 「杉浦さんかわいいよな」 「若林さんもかわいくね?隆太はどっち派?」 俺だけが見ているわけじゃない。 あれをアイドル扱いしているのは俺だけでもない。 コウには次から次に彼女ができるからか、こういう話題になることもないけど。 「若林一点集中」 俺は答えてやる。 まぁ杉浦もかわいいけど、彼女にするなら若林。 つきあったら楽しそう。 あははっなんて明るく俺の隣で笑ってくれる姿を妄想する。 ただの夢。 その夢の中で生きるのが楽しい。 本当はすごく性格悪いかもしれないし。 声をかけたら無視しそう。 なんて思いながら見ていると、若林は無防備で。 下に落ちたものを拾おうとしてパンチラ披露してくれる。 「…見た?」 「水玉?」 なんて言い合って喜んでいる連れ。 俺はムカつく。 俺だけが見るならいいのに、他のやつらに見られまくり。 そんな無防備になるなと言いたい。 おまえらを狙ってる男は山ほどいる。 勝手に怒って、勝手に喜んで、勝手に沈む見ているだけの俺の恋愛。 3年で同じクラス。 若林は1年の頃と変わらない。 モテるのに彼氏いない。 髪が伸びて少しは大人っぽくなったかもしれないが、相変わらずかわいい。 俺は背も伸びてきたからか、コウの元カノによく狙われるようになった。 告白もされる。 コウの元カノじゃなければokした。 でも俺のまわりにはコウの元カノしかいない。 コウの元カノが嫌なのは、コウのお古が嫌だというだけで。 別に彼女つくりたくなかったわけでも、若林をずっと狙っていたわけでもない。 彼女はいないまま高校3年。 俺の隣には、okもしてないのに彼女のように寄り添う女。 悪い気はしないけど。 いい気もしない。
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