Baby lover(Ryuta↓all)

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「おまえの家にいったら襲われそう」 俺は自転車を出して押して歩く。 奈緒美は俺についてくる。 「ちょっと待ってよ。あたしが襲うの?」 「俺は襲わない」 「襲ってよ。隆太、かたいなぁ。コウみたいにもっと軽く家にきてくれたらいいのに」 「軽く家に上がり込んで軽く襲えって?俺、奈緒美とつきあってない」 「つきあってってあたし、言ったよ?」 「俺は断った」 「…なんで?あたし、かわいいほうだと思うんだけど。ナンパもされる」 確かにかわいいほうかもしれない。 俺じゃないのを狙えばokされるだろう。 軽く家に上がり込んで、軽く襲うだろう。 奈緒美はそれをわかっているようだし、軽く受け止めて軽くセックスするんだろう。 ……俺はそんなの望んでもいない。 「彼氏欲しいなら他を当たればいいだろ」 「もうっ。隆太を狙ってるって何度言えばいいのっ?……隆太がいい」 「何がいい?手近にいただけだろ?」 「それはあるけどっ、隆太を好きになったからコウと別れたいって思ったのっ。隆太のほうがかっこいいって思ったのっ」 「俺に幻想抱きすぎじゃね?俺とつきあったら、どうせコウのほうがよかったとか思うんだろ?」 そういうのがコウのお古が嫌な理由。 俺は奈緒美の家に上がり込むつもりもなく、先に通学路を歩いていた麻美たちを見つけて声をかけていく。 カラオケいこうかという話になって、俺は予備校もあるし自転車で先に帰る。 奈緒美は麻美たちのところにおいて。 予備校いって、終わると真っ暗な空で腹も減りまくり。 家に帰れば飯も用意されているけど、まっすぐ帰るのもだるい。 コンビニで適当に飯を買って公園に寄って食べる。 プチ家出かもしれない。 帰りたくない。 家の飯を食べたくない。 家の人間と話したくもない。 飯を食べたあとはベンチの上で転がって煙草をふかす。 親の言うままに予備校いって、受験するのかと思うと、俺の未来はつまらない。 やりたいこともないし、親の言うままになるのもいや。 じゃあ、どうするんだ?と聞かれても、なにもしたくないとしか答えられない。 なにもしない未来のほうがつまらないのはわかりきっているのに。
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