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いつものように仲間と話して、ゆっくり学校を出て。
予備校があるからと遊びにいくのにつきあわなかったのに、予備校にいく気力がまったくない。
とりあえず一服を目当てに公園にいく。
学校の近くの小さな児童公園。
滑り台やジャングルジムやブランコのある、なんの変哲もない公園。
桜の木に囲まれている。
見事に満開で、桜に見とれながら自転車を置いて公園の中へ。
先客がいた。
ブランコをめいっぱい漕いでるうちの学校の女子生徒。
他に人影もなく、ブランコの鎖が擦れる音以外は喧騒からはずれた場所。
若林。
それがよく知っている人間とわかっても、すぐには声もかけられなかった。
無視されそうで。
スカートと髪がひらひら舞う。
立ち乗りしているから、またパンツ見えそう。
少しは恥ずかしがりやがれ。
…というか、やっぱりかわいい。
小さい頭、小さい体。
ひらひらとスカートと髪がなびく。
太もも見えすぎ。
でもかわいい。
ただ見ていたら、若林は俺に気がついた。
結構勢いつけてブランコを漕いでいたのに、慌てたようにブランコから飛び降りて、俺の目の前で派手に転んでくれた。
俺は焦って若林のそばに駆け寄る。
若林はどこか怪我でもしたのか動かない。
近くまでいって、どう声をかけようか迷ってる俺を若林は見上げた。
何を言えばいいのかわからない。
ちょっと恥ずかしそうに赤くなってるのはかわいい。
「……パンツ見たでしょ?」
若林から俺に声をかけてきた。
俺は思わず笑った。
声をかけてくれたのがうれしかったのもあるし、何を言うかと思えばそれかというのもある。
「しましま」
俺はひらひらとしたスカートの下に見えたその柄を答えてやる。
青系横ストライプ。
今日は俺しか見ていない。
若林は立ち上がって、俺はその土汚れしてしまった若林の足とスカートを見て、その汚れを払ってやろうとした。
ちょっと擦りむいてる。
血がだらだら出てなくてよかった。
せっかくかわいいのに怪我をしたらもったいない。
第一印象のまま元気な子。
ふれたら若林はびくっとして、俺から距離をとるように離れた。
……避けられた。
ちょっとショック。
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