Baby lover(Ryuta↓all)

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ダメだ。 俺より背高くなるのはダメ。 俺の背がもっと伸びるまで待て。 いや、俺の背がここで止まって、千香の背が伸びたら…。 ダメ。 ヒールは履くな。 「似合わないから履かなくていいだろ」 俺はそんな言葉にした。 千香は怒った。 「…たまにひどいこと言ってくれるよね。だから男扱いすれば?」 誰がしてやるかっ。 男前に俺に手を貸そうとしてきても。 俺の腕の中におさまるかわいい子でいてほしい。 「男とも手は繋がないだろっ」 俺は男同士ならこうだろ?と肩を抱いた。 もう一声言われたら、そのまま抱きしめようとした。 千香は黙って立ち止まり、そのまま俯いて。 俺はふれた細い肩に、あたりの静けさに、ドキドキしてくる。 抱きしめる? 振り払われたらどうする? 千香ならビンタしてくるぞ。 もう公園にきてくれなくなったらどうする? …抱きしめたい。 ぎゅって思いきり。 俺は葛藤した。 今は…まだ友達。 「……肩幅、小さい。千香は女」 俺は千香の肩から手を離した。 友達って…微妙。 どこまでふれていいのかわからない。 調子にのって嫌がられたくもないし。 でも…ふれたいし。 彼女…なってほしい。 いっぱい抱きしめて、キスして…。 …俺、なに考えてんだ? 変な欲望湧いてきた自分に落ち込む。 ふれたいのは千香だけ。 ふれられたいのは千香だけ。 妄想の中、千香が俺に言う。 「どこにふれたいの?スケベ」 泣きそうなくらいそんな妄想に恥ずかしくなって、真っ赤になる。 …鼻血ふきそう。 奥手な俺を千香ならリードするだろう。 俺はそんな千香に引っ張られてしまうんだろう。 かわいいだけじゃない。 そんな千香に思いきりはまってる。 俺の頭の中は千香ばかり。 ふと気がつくと、千香は廊下で男と楽しそうに話していた。 そんなの今まで見たことなかった。 しかも相手は軽音幽霊部員のモテ男。 千香と並んでいるのが似合う背の高さ。 嫉妬。 千香はまだ俺の彼女じゃないけど。 俺のかわいい人。 誰かに奪われたくなくて、声をかけにいってやろうとしたのに、俺の腕にしがみついた女が離れない。 コクる。 フラれても諦めてやらない。 俺の彼女にするまで諦めてやらない。 …ただ嫉妬で燃えた。 恋愛はライバルがいるほうが成長するのかもしれない。
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