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軽音幽霊部員のモテ男は千香に親しげで、その頭を気軽に撫でてる。
千香は嫌がった様子もなくて、俺は更に嫉妬。
「なに見てんの?山瀬?」
「若林と山瀬って知り合い?つきあってないよな?」
俺はそんな噂がないか探ってみる。
「あたし、同中。若林、今おとなしいけど、中学の頃は男に囲まれてたよ。山瀬もその中にいた。つきあってるって噂あったけど、若林、かわいいけど中身男っぽいし。あたしは違うって思ってた」
奈緒美はそんな情報を俺にくれる。
中学の頃から千香はモテていたらしい。
「山瀬が女たらしだしね。コウと違うのは何股でも股がけしようとするところ。いくらかっこよくても、あれはダメだよね」
なんて山瀬の情報も別の女がくれる。
「それって股がけされようとする女がいないと成り立たないところもあるけど?彼女がいてもいいんですぅみたいな」
「山瀬なら言われてそう。コウは?言われたことないの?」
「次別れたらつきあってねとは言われる」
コウが仲間の言葉に答えるとまわりは笑う。
「おまえ、それ、つきあう期間短いからだろ。順番待っていればすぐに巡ってくるからだろ」
俺は言ってやる。
「俺は遊園地の乗り物かよ」
コウは言って俺に絡んできて、俺はコウの拳を叩き落とす。
本気で殴ろうとされたら、俺は殴られる。
この色男、金はなくても運動神経と力はある。
「乗車拒否する誰かさんよりはいいと思う」
奈緒美の視線は俺を見る。
「俺はタクシーかよ」
「あたし以外にも乗りたがる客いるのに誰も乗せないよね」
「…予約車なので」
「予約した客どこいったのっ?」
なんていうつまらない会話に俺の情報収集はいつの間にかかわる。
ちらっと千香のほうを見ると目が合った。
俺は引き寄せられそうになって、奈緒美に腕を掴まれて引き戻される。
俺の車に乗せたい客は今は一人だけ。
誰かに奪われる前に俺がいく。
…千香を狙うなんて、何気にレベル高い。
俺も少しはモテるほうだと自分に自信を持たないと。
ライバルもレベル高い。
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