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いつ?
今日。
どこで?
いつもの公園。
誰に?
千香に。
何を言う?
俺の彼女になってください。
放課後、いつもの児童公園。
いざとなると、どうしても緊張しまくる。
千香とベンチに並んで座って、いつものように話すしかできない。
俺のブレザーを千香が握って、その顔がすぐ近くに見えて、その唇を見ると、俺の心臓が持たなかった。
やめたっ。無理っ。
エロ妄想に走りそう。
俺は千香から逃げるように立ち上がる。
「どっかいこうか。ゲーセンでもいこ」
千香がふれたブレザーの腕を押さえて、自分を落ち着けさせようとがんばる。
友達は嫌なのに、友達の線を越えるのも大変だ。
たった一言なのに。
そこから変わるものがあるのかもわからないのに。
更に先走った俺がいるから悪い。
少しは頭冷やしてから再度トライするべきだろう。
「…ねぇ?私、隆太に嫌われてる?学校で声もかけてくれないよね。同じクラスなのに。……もし、さ、嫌われてるなら、それでもいいから…。他の子につきあってもらえばいいんじゃない?ほら、隆太がよく教室で一緒にいる原田さんとか」
千香は俺にそんな言葉をかけてきた。
原田は奈緒美のこと。
なにか勘違いされてる?
俺は千香を振り返る。
この千香との放課後が、俺にとってのただの暇潰しみたいに思われている?
いや、さっきのは嫌ってるとかそういうんじゃなくて…。
「嫌ってない。…照れてるだけだって」
どう言えばわかってもらえるか迷いながら答えた。
言っても、千香は俺に嫌われてると思ったのか、泣きそうな顔で泣くのを堪えてる。
…かわいい。
めちゃくちゃかわいい。
本気でかわいい。
その涙を溜めた目で俺を見ないでほしい。
もっと惚れそう。
なぁ?俺のこと、好き?
その答え、好きって聞けたら、俺、襲いかかりそう。
言わないと。
先走ってばかりいないで。
緊張と鼓動の苦しさで、呼吸、変になりそう。
「……千香、…彼女に…なってほしい」
声、裏返りそうになりながら、俺は一生懸命に言った。
とても顔を見て、口説くようには言えなかったけど。
俺の一生懸命。
俺の精一杯。
「原田さんとつきあえば?」
千香はそんな答えをくれた。
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