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違うっ!
叫びそうだった。
こんなめちゃくちゃいい雰囲気で、その返答はなしだっ!
俺の一生懸命、精一杯、台無しにすんなっ!
「なんで奈緒美の話になるわけっ?俺はおまえにつきあってって言ってるのにっ」
俺は別の答えがほしいっ。
ここまできたら千香もわかってるはずだっ。
天然でボケたことにしてやってもいい。
なかったことにはさせてやるかっ!
「つきあったら何が変わるの?」
千香の問いかけに俺は考える。
変わるもの…はないかもしれない。
でも…。
俺の千香でいてほしい。
それはちょっと恥ずかしすぎて言えない。
俺がめちゃくちゃ千香に惚れてるなんて、とても言えない。
「……わからない…けど。…俺は奈緒美とつきあいたいと思ったことないし、……千香が男に頭を撫でられてるの見たくないし…。千香とつきあいたい」
最初は千香を見て言っていた。
あまりにその目がじっと俺を見るから、告白だとまた思い返して恥ずかしくなる。
口にしてみると、すごい独占欲だ。
かっこ悪い。
俺についてこいくらいでいたいけど、俺は千香に惚れすぎてる。
俺の目の前、差し出された千香の手。
「ふれてくれたらつきあう」
千香はそんな言葉をくれた。
また、よっしゃあと拳を握って喜びそうな俺がいる。
俺はお手をするように、千香の指先にふれた。
妄想の中、千香は俺に言う。
「指先だけ?もっとふれてもいいのに」
ノックダウンされていいですか?
そんな不満そうな顔して俺を見るから、そんな妄想するんだ。
俺の手は千香の体を強く抱きしめたくて。
俺の唇は千香の唇にふれたがってるなんて。
おまえはなんにもわかってないの?
無防備。
夢かな。
夢かも。
でも現実がいい。
見ていただけのかわいいあの子が俺の彼女。
つきあったら…なにしよう?
キス?セックス?
その前にぎゅって抱きしめる。
手を繋いでデートでもする?
ベタベタしまくる?
なんか俺、どれも妄想だけでできそうにない。
千香が引っ張ってくれるかな…。
毎日、会いたい。
毎日、一緒にいたい。
それは変わらない。
言われたい言葉があるんだ。
好きって言って。
それだけで俺はなんでもできそうな気がする。
おまえが望むなら。
俺のプライド全部捨てられそう。
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