Baby lover(Ryuta↓all)

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俺は山瀬の耳にも届くように、俺と千香がつきあっていることを広めているつもりだ。 そのせいで冷やかしが多いのもわかっているが、それはおいといて。 股がけ上等色男は俺を挑発しているかと思われる。 見ていると俺の視線に気がついたようにこっちを見る。 無視したかと思うと、千香との距離を縮めて絡む。 無防備な千香はなんにも思っていないようで、気にした様子もなく。 山瀬がどんなに絡んでも、俺が奈緒美を振り払うかのように軽く山瀬を払う。 俺は思わずにやついてくる。 山瀬には勝てている気がする。 千香が揺らぐことがない。 千香は山瀬とその連れに杉浦も一緒にと誘われまくっている。 その答えを聞きたいのに、俺は連れに声をかけられて食堂に向かう。 通り過ぎ様、山瀬と視線を交わした。 放課後、昼休みのことでも話そうと思っていたら、親から携帯に電話がかかってきた。 予備校のことを責められるのかと思えば、たまには一緒に食事しようと誘われた。 俺が予備校にいっていないことを知っているはずなのに、そこは本当に何も言われない。 千香に言い訳したとおり、目標は与えられていても期待はされていないし、好きなようにしろとの放置だ。 「絶対いかない」 俺には親と食事するよりも大切な時間がある。 『そう?じゃあ来月、小遣い無し』 それは…困る。 千香と遊べない。 「なんで今日なんだよっ?土日にしろよ、土日にっ」 『今日は金曜日。明日は休み。食事するいい日でしょ?』 「だからっ、明日にしてくれっ」 『いや。あ、発見』 その声に気がつくと、派手に着飾った若作りの母親が、派手なオープンカーを俺に横付け。 「隆太、ほらいくわよ。乗りなさい」 この親は俺をなんだと思っているのか。 俺は親の人形じゃねぇ。 「…待ち合わせしているから、またあとで」 そのままバックレてやるけど。 「再来月も小遣いいらないの?」 「だから急すぎるだろっ」 「電話かけときなさい。携帯くらい相手の子も持ってるでしょ。ほら、自転車乗せて。助手席乗りなさい」 携帯番号なんてしらねぇよっ。 口を出さないぶん、俺の言い分、なんにも聞かない。 俺は親を殴りたい。 家を放り出されてもいいから殴りたい。 思っても、下校中の同じ学校のやつらにじろじろ見られて、結局、俺は親に連れ去られる。
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