Baby lover(Ryuta↓all)

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俺は人形のように着替えさせられて、人形のように食事と夜遊びにつきあわされる。 俺の父親は弁護士。 母親は専業主婦。 ただし父親がテレビに出たりしているから、母親もなぜか芸能人気取りでたまにテレビに出ている。 普通にサラリーマンの親ならよかったのにと思う。 「ほら、隆太、乾杯」 母親は俺が未成年なのも気にした様子もなく、俺に酒を飲ませる。 母親とデートをしているかもしれない。 高校生にもなって、とてもうれしくない。 大学いったら絶対に家を出てやる。 資金援助されなくても出てやる。 「んー、なかなかいい男に育ったんじゃない?次どこいこっか?」 母親は満足そうに俺を眺めて、まだ連れ回す気満々で。 「帰る。眠い」 「なに言ってんの?若いんだからオールくらいつきあいなさい」 「親と二人でオールってなんだよっ?」 「彼女と思えばいいでしょ」 「自分が何歳だと思ってんだよっ?息子の彼女のふりなんてすんなっ」 「ダーリン、怒っちゃいやん。ほら、さっさと飲みなさい。次の店いくわよ」 「誰がダーリンだっ。おとなしく父親とデートオールしてろっ」 「あのオッサン、また女子アナに手を出したのよっ」 つまりはその父親の浮気が俺が母親に連れ回されている原因。 俺は今度はもういいってくらいに愚痴を聞かされる。 眠い。帰りたい。 どうせすぐにまた一緒に晩酌しているくせに。 なんで俺がつきあわされなきゃならない? …オープンカーは恥ずかしいから本気でやめてもらいたい。 学校が休みだと千香に会えない。 次の休みは一日中、千香といたいかもしれない。 …襲われそうだけど。 …襲われたい。 ふれたい。 手をぎゅっと握って。 目を閉じた千香にキスする妄想して、妄想の中の千香は俺をまっすぐに見つめる。 隆太って俺を呼ぶ声が耳に残ってる。 好きって言って。 聞かなくてもおまえの心の声は聞こえるけど。 その声で、その唇で言ってみて。 俺? …好きだよ。 ……言えそうにない。 頭の中はいつも千香のことばかり。
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