Baby lover(Ryuta↓all)

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月曜。 絶対に怒らせているはず。 思っているから学校の中で声をかけられなかった。 千香より先に出て、いつもの場所で待っていようと思ったのに、先生に捕まった。 忘れていた耳のピアスを放課後になって注意されている。 それをはずして急いで公園にいくと、千香はきてくれていた。 拗ねてる。 俺の姿をちらっと見ただけで顔を逸らす。 かわいいから拗ねるのは禁止だ。 だってそれって、俺のこと好きだから、だろ? なんとも思ってもいない相手にブチられたって、拗ねたりしないだろ? 千香が拗ねたら俺が喜ぶ。 「ここでじっとしてるのもなんだし、どっかいこ」 俺は小遣い確保もできたし、千香に何かを奢ろうと連れ出そうとした。 千香は拗ねてる。 動かない。 先にご機嫌をとらないといけない。 「…映画でも見に行く?」 前に見たい映画があるって言ってた。 聞いても千香は答えない。 俺はその場に屈んで、下から千香の顔を覗き込む。 千香は顔を上げて逸らしてしまう。 俺は煙草を取り出して火をつけて。 「……ん」 俺は千香の唇を指でキスするように、煙草を吸わせようとしてみる。 千香は吸ってくれて、俺は煙草を千香から離す。 千香が煙を吐くと、もう一度その唇にふれる。 千香の視線は俺を見てくれた。 「……遊ぼ?千香」 もう一回誘うと頷いてくれた。 千香がもう一服と欲しがらないから、俺は煙草を吸う。 千香の手が甘えたいとでもいうように俺のブレザーの袖にふれる。 千香の間接キスを一服もらって、俺は千香を連れて歩き出す。 自転車に乗れば千香は俺の背中に擦り寄るから。 好きなだけ甘えさせてやれる。 俺は自分の指を無駄に唇にあてていた。 今日はどこにいこう? 明日はどこにいこう? 毎日が楽しい。 今日は一緒に学校を出るつもりだったのに、俺はまたしても声をかけそびれた。 デートあるからと千香を追いかけようとしたら、奈緒美に捕まった。 奈緒美を振り切るように自転車置き場まで歩く。 奈緒美はしつこく俺についてくる。 今日こそはいかせないとでも言うような感じ。
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