Baby lover(Ryuta↓all)

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「だから、俺、彼女いるって言ってやってるだろ?」 「それでもいいって言ってやってる」 俺がそんなのいらない。 千香がいれば他にはいらない。 「というか、ずっと好きって言ってるのに、隆太が勝手にいつの間にか彼女つくっていたんじゃない」 「……断った」 「振り向いてくれるまで追いかけるって言ったよ?…若林のところなんて行かせたくない。さっさと別れちゃえば?」 「だから…、俺は奈緒美とつきあう気はないって。おまえ、コウとつきあっていたくせに、なんで俺にくる?コウに腹いせに見せつけるためにベタベタしてきているなら、俺を相手にするな」 俺は今日こそは奈緒美を諦めさせようと真剣に言ってやった。 泣かれたくもないし、自転車を出して逃げる準備もしておく。 「そんなんじゃないってば。あたしは隆太が好きなだけ。ねぇ?隆太の好みってどんな女?」 奈緒美は俺の逃げ道を塞ぐように自転車の前に回ってきて聞く。 俺も考えがセコいかもしれないが、奈緒美も俺の行動を読まないでほしい。 「…俺の行動を邪魔しない女」 「だから行かせたくないって言ってるでしょ?あたしを連れていってくれるなら道をあけてあげる。隆太、待ち合わせ場所教えてくれないし、押しかけられないもん」 「いくら好意を持っていても邪魔していいわけじゃないだろ?…俺、たぶん、本気でキレたら女でも殴れる」 俺はもう一度、いつも真剣に言ってやった。 奈緒美もいつもより真面目な顔を見せる。 「……なんであたしはダメなの?なんで若林とつきあったの?」 コウの元カノだったから。 俺はそれは言わないでやることにした。 コウとつきあったのが、奈緒美にとってのまちがいだったなんて思われたいわけでもない。 奈緒美とつきあわなくて、千香とはつきあいたいと言ったのは…俺の気持ちだ。 俺は千香に惚れていて、奈緒美に惚れてない。 単純にそれだけのこと。 「おまえとつきあいたいと思わなかったから」 はっきりと言ってやると、奈緒美の目からぽとっと雫が垂れた。 「……って泣くなよっ」 「隆太が優しくしてくれないからじゃないっ。…キスして」 奈緒美は強く俺を睨むように見て言ってくれる。 「ふざけんな」 言うと、ぽとぽと奈緒美は涙をこぼす。 別にふざけてるわけじゃないのはわかってる。 わかっていても口から出た。
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