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奈緒美が俺のそばを離れたことで、更に厄介なことになってきた。
あれもこれもそれもコウの元カノというのばかりが、奈緒美のいた位置を手に入れようと睨み合う。
俺は奈緒美にある意味、守られていたのかもしれない。
「もうおまえ、彼女つくるのやめない?」
俺はコウと二人、食堂で早弁のような飯を食べながら言ってみる。
この学校の女、全員コウの元カノなんじゃないだろうかというくらい、あっちもこっちもコウの元カノだらけ。
「俺がつきあってくれと言ってるわけじゃないし。女に捨てられて拾われてるのは俺」
「おまえが軽くokしなければいい」
「俺だって失恋して傷ついてるんですぅ。新しい彼女に癒されたい」
「おまえの傷は浅いだろっ。相手にべた惚れしてから傷ついたって言え」
「少なからず傷ついてんだよっ。彼女すぐにつくって俺を振った女に後悔させてやりたい」
「またすぐにフラれるのがおまえだろ。フラレ虫」
「その虫、すっげぇ嫌なんですけど」
「おまえのことだよ、フラレ虫」
いい加減、そのコウの中でも悪循環になってるものを断ち切ってくれないと、俺がまた厄介なことに巻き込まれる。
「…俺だってせめて3ヶ月以上の恋愛したいよっ?俺を振るなって女に言ってくれよっ」
「その前に自分を見直しやがれ。彼女いても彼女じゃない女に優しくしてどうする?彼女優先にしないからフラれるのもあるだろ?」
「…うわー、隆太が恋愛語ってる。どうなの?初めての彼女。俺、おまえが彼女と話してるのもあまり見たことないんだけど」
また冷やかしのような言葉を受けて恥ずかしくもなる。
初めての彼女。
その言葉も恥ずかしい。
「…かわいい」
俺は思わず本音で答えた。
俺みたいなのをベタ惚れしているというのだろう。
くっついてる感覚が忘れられない。
思い出しただけでドキドキ。
千香が俺を抱きしめる腕が好き。
甘えんぼ。
もっと上手く甘えさせてやれる男になりたい。
恥ずかしいけど…、千香となら、もっといちゃつきたい。
俺が狙うのはその千香の唇だけ。
どっぷり千香との恋愛にハマってる。
初めて千香を見たときから、俺は千香に夢中だったかもしれない。
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