Breath

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奈緒美が落ち着くまでそこにいて、また千香にフラれそうだと後悔しながら、千香を探した。 どこにもいなくて、雨の公園に戻ってみてもいなくて。 俺は大きく溜め息をついて自己嫌悪。 携帯番号聞いておくの忘れてたこと。 わかっているくせに、千香を怒らせてしまうこと。 自分がされたくないならするなとわかっているのに。 どうしても思うようにいかない。 俺のまわりで千香の態度を俺にそんなに深く惚れてないからみたいに言われるから、そっちにも考えて淋しくもなる。 たとえば…千香の気持ちが俺が思うほどのものでもなくて。 俺が一人で浮かれて悩んでる恋愛だとしても。 俺にとって大切なもの。 俺にとって幸せだと思えるもの。 カッコ悪くて情けなくて、何もかもボロボロでも。 千香に惚れた気持ちは消えない。 俺は頭を抱えて座り込んで、どうしようもない自分に何度も何度も溜め息ついて、泣きそうにもなりながら頭の中の整理をつける。 明日謝る。 これ一点。 本当は今すぐ会って謝りたいけど電話番号も知らない。 …別れるなんて言われたら、俺がすがりつきそう。 妄想の中の千香は言う。 「私が甘えたいのに。隆太の甘えんぼ」 その通りです。 ごめん、千香。 何度だって頭を下げるから笑って。 この恋愛は俺がおまえに惚れて始まった。 おまえが俺に手を差し出してくれたから始まったんだ。 おまえを惚れさせたい。 俺のことで悩んで泣くくらい惚れて。 俺はそれ以上におまえに惚れてるから。 朝に学校に辿り着くと会った。 挨拶はした。 謝ろうと思ってるのに、すぐにその言葉が出てこなくて、ぼやぼやしているうちに山瀬が声をかけていって連れ去られるように千香は歩いていった。 喚きたい。 子供のように喚きまくりたい。 思うようにならないのがもどかしい。 休み時間に、昼休みに、その機会を見計らう。 千香から声をかけてきてくれればいいのに、千香から声をかけてくることもない。 冷やかされたくないって言い過ぎた過去を恨む。 だから…、わかってる。 千香が俺に学校で関わってこようとしない理由。 冷やかされてもいいからいけと自分を奮い立たせて千香に声をかけようとした。 「隆太、ちょっとこい」 がしっと腕を回されて捕らえられて、俺はコウに引きずられる。 ……千香ぁ…。
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